第1回厚生科学審議会委員会議事録15 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・○中西委員長  どうぞ。
○実平委員  サプライチェーンに当たっての情報伝達の関係なのですが、必要な情報を必要なところまで効率よく伝えるということが重要でありまして、言葉でいえば非常に簡単なのですけれども、実際に具体的なイメージをもって議論をしていかないと、何かできるという形だけで改正等々に反映されますと、なかなか実効性の上がらないものになる可能性があるので、この辺をしっかり議論していただきたいという観点と、リスク評価全体につきましても、リスクもあるのですが、全体的なベネフィット的なところ、社会経済性の観点も勘案した、総合的な評価の視点も欠かせないのかなと思っていますので、よろしくお願いします。
○中西委員長  ありがとうございました。小出委員。
○小出委員  3点ばかりお話ししたいと思います。顔ぶれをみたところ、一般の新聞とか、読者からの代表はいないようですので、新聞の立場からお話ししたいと思うのです。
 化学物質という言葉が出たときに、新聞の読者が一番最初に考えるのは、ポジティブなイメージではなくてネガティブなイメージだというのが現実であります。私も時々びっくりするのですが、うちの新聞でも、先日、多分12月だと思うのですが、化学物質を全く使わない染色、新しい色の染め方というものを普及したいという記事が生活面の頭で出ておりました。

水も恐らくすべては化学物質なのだろうからというのが我々の考え方なのですが、やはり新聞、一般の読者のイメージは、化学物質に関してはいまだにそのような状況であります。
 ちょうど10年前の今ごろ、我々が何をやっていたか、世の中がどうだったかを思い起こしていただきますと、ダイオキシンと環境ホルモンの騒動のさなかでありまして、それぞれいずれもリスクがありますから、そのリスクをきちんと調べて対処しなければいけないのですけれども、実際の報道はその全体像を超えて、人類最悪の物質であるとか、そういう見出しが飛んでいる状況でした。我々は子孫を残せるか、というような見出しが社説になるような状況だったのです。

その中に、例えば今行われていますような化審法の議論がどのくらい生きたかということを考えますと、ほとんど反映されていない状況なのです。
 事態は変わっているかといいますと、私の感じでは余り変わっていないように思いますし、資料3の2ページのところに、それぞれの法律の位置づけという絵がございまして、化審法はここの部分を扱うという枠ができています。

法律技術論的にはこの中で扱っていただかなければいけないですし、この討論もそういう形で進めていただかなければいけないのですが、新聞の読者、生活者は、こういう枠は全く関係ありません。昨日の有機リン系の毒性についてもそうですし、化学物質という名前が出た途端に、これを飛び越えて不安が飛び交うという状況です。
 これにどのように対処したらいいかといいますと、化審法の枠はもちろん超えてしまいますけれども、織委員からも提案がありましたが、化学物質管理を全体的にどうするのかという国の1つの方向性を示すことは必要でしょうし、ここに各省庁の方がおいでですが、これは本来、内閣府にかかわる部分だと思うのですが、そうした方向の指摘なり、方向性を出す必要があるということが討論の中で出ているということは記録していただきたい。
 もう1つは、先ほど篠原さんからも出たと思うのですが、それをどうしたらいいか、消費者にもそういう情報を届けるためにどうしたらいいかといいますと、総合的なデータベースが必要だと思います。

これはもちろん、国際化に対応するためのものでもありますけれども、NGOや一般の市民なり読者がアクセスしたときに、そこからどんな状況であるかということを割とたやすく引っ張り出せるようなものが、全体的な戦略の中に入ってこなければいけないと思うのです。
 2点目は、そういう審査の中で、REACHともぶつかる問題だと思うのですが、鉛とか幾つか毒性のある物質があります。

これをすべて頭から排除するという発想も硬直化した対応に思いますし、どういう限られた状況ならば使えるかという、むしろそういった情報を積極的に出していただくことによって、物質にはそれぞれメリットがある、デメリットもある。

その中でどう扱ったらいいかという冷静な議論を熟成する1つの素地になるのではないかと思います。

新聞の読者、それから新聞の見出しのつけ方も、毒があるのかないか、1かゼロという議論でやりたがるのですが、そうではない方向に導く材料の1つとして、毒性はあってもそれをどのように使うかというアピールも必要だと思います。
 もう1つは、環境ホルモン騒動が起こって、バックグラウンドは業界、それを取り扱っている人に対しての不安感、情報がないということだったのですが、ことしで10年たって、環境ホルモンなり環境化学物質の研究はどのようになるのか。

私はその後詳しく聞いていないのですけれども、別に環境省に予算をたくさんつけろということではないのですが、環境中の化学物質についてこのようにフォローしているということを、行政が国民にアピールしていただきたいと思います。

なかなか地味な話で、我々も記事にはしにくいのですが、そういうアピールが重ねて幾つかあるということによって、安心と安全を少しずつでも近づけるという方向に力が働くのではないかと思います。

 以上、3点ばかりご指摘させていただきます。
○中西委員長  ありがとうございました。北村委員、どうぞ。
○北村委員  今回の化審法の改正は、まさにリスクというのがキーワードだと思いま
す。化審法はこれまでハザードが主体になってきておりましたので、その間でプレーヤーというのは、ほとんどが生産者にあったと思います。

ただ、ハザードがリスクにかわるということになりますと、サプライチェーン、そして最終的には消費者も含めて、チェーン的なつながりをもったすべての人がこれのプレーヤーになってくるというのが、現在の化学物質に対する視点ではないかと思います。
 そういう意味で、第4回のワーキンググループに示されております化学物質管理の在り方という点でも、ひとえにプレーヤーが生産者だけではなしに、サプライチェーン全体がプレーヤーになってくるのだという転換を考えなければならないということで、非常に重要なワーキンググループが第4回目ではないかと考えております。
 ただ、そのことが非常に重要であることは産業界も承知しているわけでございますけれども、私が今、懸念しておりますのは、リスク評価、リスクのインフォメーションのエクスチェンジの問題でございます。

リスクというのは、情報を通じて上流から下流に伝えられるのが基本パターンでございますけれども、情報の出す側と受け側、いってみればその2つがシンクロしていないと、情報というのは空回りで動いてしまって、ひどいときには曲解されるということもございます。

そういう意味で、情報も大事、それの公開も大事ということは思いますけれども、受け側と出す側が同じような方向を向いてリスクを共有化するという姿勢も重要ではないかと思いますので、そういった方向がどういう形でつけられるのか、その形をこのワーキンググループでご討議いただければと感じております。
○中西委員長  ありがとうございました。神山委員。
○神山委員  今、小出委員もおっしゃったのですけれども、化審法の見直しは、枠を超えて化学物質政策をどうするのかという広い観点からも、ぜひ検討していただきたいと思います。きのうのギョーザの問題もそうですけれども、殺虫成分が幾つもの法律にまたがって規制されているという現状からしますと、化学物質の性質に着目した化審法のような法律が、すき間の法律ではなくて、全体をカバーできるような法律であるべきではないかと思いますので、そういった化審法の見直しの枠を超えた議論もぜひお願いしたい。
 それから、こういったことについて、環境NGOもいろいろな提言などをしておりますので、第4回の前に、そういういろいろな方たちの意見を聞くというヒアリングをやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○中西委員長  織委員。
○織委員  第4回のワーキンググループのテーマというのは、昨年も化審法と限定していないのですけれども、化学物質政策基本問題小委員会で1年間議論してきて、それなりの結論をまとめてきていると思います。

ですから、2020年の目標に向けて、リスク評価ですとか、BtoCの問題も含めて、今後の化学物質管理のあり方はどのようにあるべきかという大枠は、昨年の議論をベースにしながら、その中で化審法の限界、化審法の枠の中ではこういうことしかできなくて限界がある。

だけど、目標としてはこういうものがある中で、化審法の意義はこういうものがあった。

ほかの自主的なものですとか、いろいろなツールがあるけれども、それではできるのかどうかといった視点から、新たに今までの議論をベースにして切っていただくということをしないと、第4回のところではまた多分抽象的に、今までの議論と同じようなことになってしまうのではないかという懸念が若干あります。
○中西委員長  井上委員、どうぞお願いします。
○井上委員  小委員長か何かを仰せつかったので、皆さんのご意見を承るほうに今まで専念していたのですけれども、神山委員も発言された通り、化審法の枠の外の問題をどうするかというのが最後のほうのご要望に出てきたと思うのです。

化審法の枠組みの中から化学物質をどうみるかと考えると、委員長もおっしゃいましたように、日本がある意味では誇ってもいい、世界に先駆けてつくった審査方法で、その内側からみると、いろいろな点でよく整っていると言える。

ただ、その中で実際に審査などに携わると、こんなことができないのかと思うようなことがいろいろある。

それが主として第3回と第4回ワーキンググループのところに盛り込んでいただいてあり、これができたらいいと思うようなことがかなり盛り込まれたと思います。

ですから、第3回と第4回については、知恵を絞って、できるだけ化審法の枠組みをもっと完成させるということが非常に大事だと思います。

ぜひそのお知恵を皆様方の中から出していただきたいというのが私の要望です。
 一方、化審法の枠の外側から、社会とか環境の側から、化審法は一体何をやっているのかというようにみるのと、中から外をみるのとでは大違いで、小出さんなどもおっしゃっていたように、これは全く違うのです。

その辺のところ、第1回と第2回のワーキンググループと関連して、たくさんのご意見が出ているわけですけれども、我々技術屋の側からすると、これをどこにどのように落とし込んで、どうやって議論すると展望が出てくるかというのが全くわからない。

それが技術屋の悲しいところで、そこのところは事務局の方々の間に立つコーディネーターのような役割が大切なのだろうと思うのです。

そこのところを、事務局の方を含めて上手にしないとすれ違って、もっともな要望が出ていて、だけれども、どのように落とし込むのかがはっきりしないで、議論すべきところが議論されないで空転するというようなことになるのではないか。

第1回と第2回についてはそんな感じを受けました。