・○中西委員長 それでは、環境省の方、お願いします。
○戸田化学物質審査室長 続きまして、資料4に基づきまして、化学物質管理に関する国際的な動向について、簡単にご説明させていただきます。
資料4、20ページの資料でございますけれども、これでもほんの各項目のさわりだけしかご説明できていないのですが、今後、ワーキンググループにおいて論点ごとにご審議をいただく際に、さらに突っ込んだ資料を出していきたいと考えておりますので、このような事項についてもう少しちゃんと書くべきだということがございましたら、この場でも、また後日でも、おっしゃっていただければと考えております。
資料4の1ページ目が、まずグローバルな動向として、ごあいさつにもございましたようなヨハネスブルグサミットにおける2020年目標、箱に書いてございます「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順を用いて、2020年までにすべての化学物質を人の健康や環境への影響を最小化する方法で生産・利用されること」、こういう基本的な目標が首脳レベルで合意されております。
これに基づきまして、国際化学物質管理戦略(SAICM)が採択され、これが今後、2009年、2012年、2015年、2020年に会合が開催されて、これがフォローアップされるということですので、我が国としても対応が必要になっているということでございます。
先を急ぎますが、次に3ページにございますのが、化審法に深く関連するグローバルな取り組みといたしまして、残留性有機汚染物質(POPs)に関する条約について取り上げております。
この条約は、残留性、生物蓄積性、毒性が高く、長距離移動性が懸念される残留性有機汚染物質、例えばPCBでありますとか、ダイオキシンでありますとか、そういったものについて廃絶または最小化を目指していこうというものでございまして、我が国としては、主として化審法の第一種特定化学物質で対応しているということでございます。
最近の動きといたしまして、4ページに2つの表がございますけれども、ここに記載されております11種類の物質につきまして、現在、追加が検討されているということでございますので、こういったものへの対応が課題となるという状況にございます。
5ページでございますけれども、グローバルな国際調和の動きといたしまして、化学物質の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)というものでございます。
これは、危険有害性情報の分類と表示を国際的に調和させることを目的としておりまして、5ページの下から5行目ぐらいにございますけれども、世界的なGHSの完全実施目標は2008年という状況でございます。
めくっていただきますと、6ページに、このような表示に代表されるようなものがGHSであるということでございます。
これにつきましては、化審法の枠内におきましては、第二種特定化学物質を含む製品の表示という制度がございますけれども、GHSラベルを使用することによって、この表示とすることができるという扱いをしているところでございます。また最近の動きといたしまして、2005年、2007年に改訂がされておりまして、その後も改正作業が進んでおりまして、例えば慢性水性毒性データを用いた環境有害性分類等の決定が既になされているという状況にございます。
7ページは、技術的な動きとして、OECDにおける取り組みがございまして、化学物質管理に関する国際標準化、国際協調の観点から、化学物質有害性試験データの相互受け入れ、既存化学物質の安全性点検、新規化学物質の事前審査の国際調和といったような活動が実施されております。
この活動の詳細につきましては、長くなりますので割愛させていただきますけれども、
8ページにございますように、ナノ材料に関する取り組みなども始まっているという状況にございます。
ここまでが国際機関等における取り組みでございますけれども、諸外国の動向といたしまして、特に欧米を中心にご説明しておりますが、10ページの欧州のREACHでございます。
2006年12月にREACH規則が成立して、2007年6月より段階的に施行されているということであります。10ページの (1)の経緯のところにございますように、欧州におきましては、第6次修正指令において、新規化学物質の事前審査及び既存化学物質につきましてはリスク評価が行われてきたわけですけれども、なかなか既存化学物質の評価が進まないといった問題意識を受けて、REACHがつくられた。
また、2020年目標に対応した動きであるということがいえるかと思います。
化学物質の登録、評価、認可及び制限でございますけれども、概要につきましては11ページにございます。最初に登録、評価がございますけれども、EUにおきましては、新規化学物質と既存化学物質の区別をなくして、1トン以上のすべての化学物質の登録を義務づけた。
さらに、これまで政府が実施していたリスク評価を事業者の義務に変更した。こういったところが特徴的でございます。
次に、認可及び制限がございますけれども、発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性物質などの高懸念物質については、認可、制限という手段によって代替化を促進するという仕組みになっております。
3番目といたしまして、情報伝達及び成形品に含まれる化学物質に関する規制ということで、安全性データシートによる、川上事業者、化学品メーカーから、それを使う事業者への情報提供、そういった川下事業者から川上事業者への用途に関する情報の流れ、また消費者の求めに応じて高懸念物質の含有情報を知らせなければいけないという規定が置かれているという状況でございます。
次に北米の状況でございますけれども、13ページからでございます。米国におきましては、有害物質規制法におきまして、新規化学物質の製造前届出制度がございますとともに、上市後の規制といたしましてインベントリー更新規則ということで、5年ごとに数量、用途等の定期報告を義務づけているという状況にございます。
15ページに、既存化学物質に関します評価の取り組みとして、ボランタリーな取り組みということで、高生産量化学物質のチャレンジプログラムがございます。
15ページの下のほうにございますように、約 2,000物質について、スポンサー登録された企業やコンソーシアムによってデータ収集が行われているところでございます。
次のページにもございますけれども、スポンサー登録がなされていない物質につきまして、法に基づく試験実施要求などが発せられているという状況にございます。
16ページのカナダにつきましても、製造前届出制度がございますし、また既存化学物質対策といたしまして、まず1つは、優先物質について保健省と環境省がリスク評価を行っているという取り組み。あと、約2万3千の既存化学物質について、簡易な手法を用いたカテゴライゼーション、優先順位づけを行いまして、 4,300物質についてはさらなる取り組みが必要。
約 500物質が高優先であって、そのうち 193物質について、3年間で12バッチに分けてスクリーニングリスク評価を実施する。バッチごとに、産業界から法に基づく義務的調査という手法も活用した取り組みが行われているということでございます。
18ページ、北米における地域連携といたしまして、ヨハネスブルグサミットの2020年目標に向けた対応も行われているところであります。
ちょっと急ぎますけれども、19ページ、カナダとオーストラリアの地域連携ということで、同じような制度を有する国同士での共同規制の取り組みもございます。
最後、20ページには、中国や韓国においても新規化学物質の規制、既存化学物質の取り組みが行われているという状況を紹介しております。
以上でございます。