・○森田化学物質安全室長 それでは、ご説明させていただきます。
ただいま委員長からも簡潔にするようにというご指示がございましたので、少し駆け足でございます。
ご了承ください。
お手元の資料3でございます。資料3につきましては、化審法というものの全体像をご理解いただくためにご用意したものでございます。
1.でございます。先ほど来申し上げておりました化審法がそもそもどういう経緯でできたか、基本的にはPCBのような難分解性、高蓄積性、人への長期毒性を有する化学物質を特定化学物質として指定し、その製造、輸入を厳しく規制するという性格のものでございます。
その後、化審法は数次の改正を経ております。
改正内容はいろいろでございますが、基本的にはリスクの考え方のようなものが徐々に段階的に導入されつつある。
それから、生態影響への配慮もするという形で進められております。
最後の段落でございますが、化審法が実際にどういうものを対象として措置を講じていくかというところの整理でございます。
まず化学物質は、毒性が急性のものと慢性のものと大きく分けて2つございます。
実際に人にそれが摂取される経路が、直接的、あるいは能動的、意図的にとる場合と、長期的、間接的、非意図的に摂取される場合と、いろいろな経路があるかと思います。
そういったものも含めまして、化審法が何を対象とするかということを整理したところでございます。
1枚めくっていただきまして、非常に雑駁な絵ではございますが、 (2)のところで、化学物質の各種制度における化審法の位置づけというポンチ絵がございます。
今申し上げましたとおり、横軸側に暴露と書いてございますが、実際にどういう摂取をするかという形態でございます。
縦軸が、有毒という観点でいうと急性のもの、慢性のもの、長期毒性のものという座標を便宜的に切らせていただきますと、化審法は恐らくハッチがけしたような部分をカバーするのであろうという整理学でございます。
この整理図はいろいろなところで出てきておりますが、そういう背景がございます。
その下でございますが、具体的に化審法の体系を非常に端的に申し上げますと、既存化学物質と新規化学物質という大きな2つの区分がございます。
これは化審法に入っていく入り口と思っていただけたらと思いますが、入り口としては、新しくつくるものと既に存在しているものという2つの考え方がございます。
実際の規制等々につきましては4ページでございます。
入り口から入ってきた物質について、化審法としては、現行法では5つの類型の化学物質に区分しております。
この部分が審査するということでございますが、主に毒性のデータに基づきまして、特定化学物質としては第一種及び第二種。
第一種はPCB等のもの、第二種につきましては、高蓄積性といいます人の体にたまっていくという要素が第一種ほどではないというものでございます。
監視化学物質は3種類ございまして、第一種監視と言われるものが、難分解性で、人の体にたまるおそれがありますが、毒性としてはまだ確定していない、懸念はあるけれども、確定をしていないというもので、将来的には第一種特定化学物質に指定され得るものという整理です。
第二種、第三種につきましては、人への健康影響及び生態環境への影響というおそれの懸念。
法律上、いろいろややこしいことを申し上げますが、毒性のおそれがあり得るとされるものでございます。
区分としましては下の表でございます。
5ページでございますが、2.でございます。新規化学物質がどのように実施されているかということを少しご紹介したいと思います。
既存化学物質というものがございますが、これは後ほどご紹介いたしますが、新規化学物質については、原則として市場に出す前に審査を受けていただくという制度がございます。
その中で幾つかの類型がございますが、大まかに申し上げまして、新規化学物質は大体年間 480件程度の申請がございます。
その中で、さらに平成15年の法改正で設けられた低生産量の審査の特例という措置がございまして、それが約半数でございます
ので、 480の半分ぐらいはそういう特例措置を受けております。
実際に 480の半分ぐらいで考えますと、その約70%がポリマーと呼ばれる物質でございます。
これは非常に高分子状のもので、基本的には人の体内に入りにくいものといわれております。
そういったものも含めまして、全体の 480の半分で考えましたところの毒性評価をしたところ、化審法の規制対象とならない、いわゆる良分解性か、もしくは毒性がないであろうと思われるものが約94%、何らかの懸念があるかもしれないというものが6%程度という実態がございます。
これについてはいろいろ解釈がございますが、実態として新規で出てくる物質の毒性は、事業者のご努力、ご配慮もあるのかもしれませんが、毒の懸念の低いものが多く出てきていると見えるのかと思います。
最後、2つございまして、そういった審査の制度の特例といいますか、別枠措置というものが別途ございまして、その1つが少量新規制度、これは生産数量が非常に少ない、年間1トン以下の新規化学物質に対する特例制度でございまして、年間1万数千件程度ございます。
あわせまして、15年改正で設けられました中間物制度がございますが、最終的な製品になる前の一時的な化学物質になるものについては、恐らくそのまま環境中に出ないというものでございますが、これが約 200件程度。こういった特例措置は、リスク懸念が比較的小さいと思われるつくり方及び使われ方についての制度でございまして、こういったリスクの低い制度をある意味で事業者も志向されるということもいえるのかなと。
これはいろいろご議論があると思います。
次ページは資料でございますので省略いたしまして、8ページでございます。既存化学物質について少しご説明したいと思います。
法律でございますので、どういう物質を対象とするかというのは、法律として一定の要件を決めないといけないというのがございます。
まさに化審法ができる前、昭和48年前からあったものは、既存のものとして取り扱わざるを得ないということで、法律はそういう体系で進めております。
新規は事業者による申請、既存につきましては、法制定時の国会附帯決議に基づきまして、国が基本的には安全性点検をするということで進めてきておりまして、平成18年度までに 1,600程度の物質については、基本的には化審法の事前審査に準じた点検ということで、きっちりと点検を進めてきているところでございます。
そういった中で、15年改正、前回改正時でございますけれども、既存化学物質の安全性点検をもっと推進すべきだというご議論がありましたので、それを加速するという意味で、官民が連携して、既存化学物質について安全性情報を集めていこうというプログラムを進めているところでございます。
このプログラム等々につきましては現在進捗中でございまして、一定の進捗状況のチェッ等々も予定しているところでございます。
9ページは、そういったプログラムのご紹介でございます。
はしょって申しわけございません。10ページ、4.でございますが、実際に今、日本の国内においてどういう物質が存在し、使われているか等々につきまして、ざっと概観していただくというものでございます。
まず化審法の規制物質としての第一種特定化学物質は16物質ございますが、これは製造・輸入が実質禁止されておりますので、製造・輸入はないとお考えください。
第二種特定化学物質が23物質指定されておりますが、このうち19物質は製造・輸入の実態はございません。4物質ございますが、実際にはそのうち3物質程度が使われておりますが、これにつきましては、関係事業者に適正な管理をお願いしておりますので、毎年、その状況については法律に基づいてチェックを受けております。
第一種監視化学物質が36物質ございまして、このうち23物質は製造・輸入の実態がない。
これは、第一種特定化学物質になり得るという意味では、行政としてもほかの物質に代替していただこうという形でやってきておりますので、そういう意味では、今後とも13物質の製造・輸入実態がございますけれども、代替の可能性等々について引き続き検討していくというものでございます。
監視化学物質の第二種、第三種がございます。これは非常に数が多うございまして、第二種は 876物質ございます。うち 100トン以上の製造・輸入があるものが 152物質となっております。
第三種につきましては61物質の指定がございまして、同じように 100トン以上の製造・輸入があるものは30物質程度でございます。
これらの監視物質につきましても、毎年、製造数量の届出をいただいておりまして、それを踏まえまして、人、健康への影響、生態への影響等々につきまして、行政としてチェックをしておりますが、その状況からは、法律上の措置をさらに進める必要があるという状況にはないと考えております。
その次でございます。これからも議論があるかと思うのですが、既存化学物質が実際どれぐらいあるかというご議論があるのですが、名簿に名前だけ載っているものとしては約2万ございます。
それとは別に、新規につくられたものも名称が公示されていきますので、それが約 6,000ございますので、名簿に載って認識されるものとしては世の中に2万 6,000あるわけでございますが、経済産業省が実施しております調査ベースでいきますと、実際に製造・輸入の実態があるものは 6,800ぐらいであろう。
名簿上は2万であるとか2万 6,000であるとかという形はあるのですが、実際に我々が対象とすべきものは、この 6,800ぐらいのボリューム感をもってやるべきではないかと思っております。
そういう意味では、下のほうに書いてございますが、名簿の3分の1程度ということでございます。
さらに一般的な傾向でございますが、やはり既存化学物質のほうが歴史的にも長い定着を経ておりますので、そういったものが多く使われている、つくられているという状況にあろうかと思います。
11ページは、そういった状況を表にしたものでございます。
以上、化審法の国内施行状況についてのご説明でございます。