・ミニシンポジウム37
アレルギー性鼻炎―病態生理と治療3―花粉症の病態を中心に―
座長:竹内裕美1), 松原 篤2), 湯田厚司3)(鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学1), 弘前大学医学部耳鼻咽喉科2), 三重大学大学院医学系研究科病態修復医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学3))
MS37-13.成人および小児スギ花粉症患者における咳嗽の検討
増田佐和子 臼井智子
国立病院機構三重病院耳鼻咽喉科
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【目的】スギ花粉症患者はしばしば咳を訴える.
そこでスギ花粉症患者の咳とのど・鼻の症状の関連について,成人と小児の状況を明らかにする目的で調査を行った.
【方法】2009年春に当科を受診したスギ花粉症患者84名(男性35名・女性49名,16歳以上の成人42名・15歳以下の小児42名)を対象として症状に関するアンケートを行い,比較検討した.
【結果】花粉飛散期の咳は,「毎年ある」が成人28.6%・小児40.5%,「年によりある」がそれぞれ45.2%・21.4%,調査時点で咳の有症率はそれぞれ43.6%・31.0%であり,いずれも有意差はなかった.
咳は成人で乾性咳嗽,小児で湿性咳嗽が多い傾向であった.
各症状の有症率では,皮膚症状は小児で有意に高く,のどのイガイガ感・痛みは成人で有意に高率であった.
全体で咳がある群では鼻症状の総点数が有意に高く,鼻閉とくしゃみの程度が強く,膿性鼻漏と後鼻漏の有症率が有意に高かった.
一方のどの各症状と咳の有無に有意な関連は認められなかった.
【結論】花粉症の咳には鼻症状が関連していたことから,喉頭アレルギーだけでなく鼻閉に伴う口呼吸の影響や,鼻汁・後鼻漏の影響などが加わっている可能性があると考えられた.
また小児ではのどの症状はより少なく,喉頭アレルギーの割合は成人よりも低いことが示唆された.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催