・
ミニシンポジウム7
アレルギー性鼻炎―病態生理と治療2
座長:白崎英明1), 春名眞一2), 宇佐神篤3)(札幌医科大学耳鼻咽喉科1), 獨協医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学2), 東海花粉症研究所3))
MS7-11.ヒノキ森林地域での小中学校耳鼻咽喉科検診
久保伸夫1) 池田浩己2) 硲田猛真3) 榎本雅夫4)
大阪歯科大学耳鼻咽喉科1) 日本赤十字和歌山医療センター2) 市立泉佐野病院耳鼻咽喉科3) NPO日本健康増進支援機構4)
--------------------------------------------------------------------------------
岐阜県加茂郡白川町は,標高1000m以上の山に囲まれた5つの集落からなる人口流出と高齢化の進む人口1万人の山村である.
大阪市を上回る237.9km2の町域の88%が山林であり,そのうち60%はスギ・ヒノキ人工林が占め,その大半が東濃桧として知られるヒノキ森林である.
川沿いの狭隘な住居地は日照時間が少なく寒冷高湿で眼前の山林から大量の花粉が落下する.
我々は平成15年より全小中学校5校(計8校)の耳鼻咽喉科検診を行ってきた.
生活習慣や家庭環境を含む30項目の問診表と視診所見を中心に検診を行い,検診後地元病院で臨時耳鼻科診療を行った.
また本年度は小学校6学年と中学校3年生を対象にスギ,ヒノキを含むMAST2による抗原検索を行い,現在解析中である.
検診による小学校1-3学年,4-6学年,中学生の通年性アレルギー性鼻炎有病率は,平成15年度は2%,6%,12%であったが,平成20年度は4%,8%,16%であった.
また,問診による平成20年度スギ・ヒノキ花粉症罹患率は,12%,25%,34%であった.
特産の白川茶を毎日摂取する生徒のアレルギー性鼻炎発症率に変化はなかったが,咽頭炎罹患率は低かった.
MAST2測定での日立化成の協力に深謝します.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催