スギ花粉症患児の治療における抗ヒスタミン薬の有用性 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ミニシンポジウム6
アレルギー性鼻炎―病態生理と治療1―免疫療法を中心に―
座長:岡野光博1), 洲崎春海2), 久保伸夫3)(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学1), 昭和大学医学部耳鼻咽喉科学2), 大阪歯科大学耳鼻咽喉科学3))

MS6-#5.スギ花粉症患児の治療における抗ヒスタミン薬の有用性―症状の緩和と中枢抑制作用に関する検討―

川内秀之 青井典明 合田 薫 清水香奈子
島根大学医学部耳鼻咽喉科


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スギ花粉症患者の頑固な鼻症状は日常生活の妨げとなり労働生産性や勉学能率を低下させることが報告されている.

本邦ではスギ花粉飛散期と受験期が重なることから抗ヒスタミン薬の勉学能率への影響は重視すべきであるにも拘わらず,その臨床的検討はいまだ十分とは言えない.

症状による労働生産性や勉学能率の低下を改善するには,脳機能の賦活に関わる脳内ヒスタミンの働きを維持し,症状発現部位におけるヒスタミンによる鼻症状を改善することが肝要である.

鼻症状の緩和はもちろんであるが,第2世代抗ヒスタミン薬間においても脳内H1受容体占拠率は異なるため中枢抑制作用を考慮した薬剤選択が要求される.

今回我々は,学童期のスギ花粉症患児(N=54)を対象として,2008年と2009年のスギ花粉本格飛散期においてフェキソフェナジン塩酸塩を中心とした治療を行い,症状改善と勉学能率に関する調査(アンケート及びTrial Making Test)を施行したので報告する.

その結果,フェキソフェナジン塩酸塩内服開始1週後,十分な臨床効果が得られたと同時に勉学能率においても改善がみられたことを確認した.

以上の結果から,フェキソフェナジン塩酸塩がスギ花粉症患児の治療において臨床的に有用であることが示唆された.

第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催