・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・パデュー大学 ニュース・サービス 2010年3月1日
よく使われる銀ナノ粒子は魚に有毒であると研究が示す
【ウェストラファイエット、インディアナ州】パデュー大学の研究によれば、抗菌剤としてよく使われるようになったナノ粒子は魚に有毒である。
水生生物への毒性影響をテストするためにしばしば使用される小魚ファットヘッドミノー(fathead minnows)のテストで、溶液中に浮遊するナノ銀は有毒であり、ファットヘッドミノーを死に至らしめることもある。
ナノ銀が沈むと溶液は数倍毒性が弱まるが、それでもファットヘッドミノーに奇形を引き起こす。
”硝酸銀はナノ銀よりもっと有毒であるが、ナノ銀が超音波で分解される叉は水中に漂うと、その毒性は10倍高くなる”と、その研究成果がジャーナル『Ecotoxicology』に発表された森林天然資源学助教授マリア・セプルベダは述べた。”懸念すべき理由がある”。
セプルベダと博士課程のジェフ・ラバンは、ファットヘッドミノーが胚子の時から、餌を求めて棲みかの底から初めて泳ぎ出るまでのをいくつかの発達段階にナノ銀に暴露させた。超音波分解がなくてもナノ銀は脳の出血や水腫を含む奇形を引き起こし、最終的には死に至らしめた。
電子顕微鏡を用いて、セプルベダはファットヘッドミノーの胚子の内部に30nm叉はそれ以下のナノ銀粒子を検出することができた。
30nmというサイズはヒトの髪の毛の径より3,000倍細いサイズである。
”これらのナノ銀粒子はそのように小さいので、卵の細胞膜を通過し、1日以下で魚の胚子の中に入ることが出来る”とセプルベダは述べた。
”胚子には高用量の銀が存在した”。
ナノ銀は多くの製品中の成分として人気が高まっている。
脱臭衣料品、調理台、まな板、洗剤などの製品中に殺菌剤として用いられている。
現在、製品中のナノ銀に適用するのための規制はほとんどないが、作物栽培学教授で、この論文の共著者でもあるロン・ターコは、環境保護庁がこの状況をレビューしていると述べた。
ターコはまた、環境中に放出されているナノ銀の現状のレベルを見積もる研究はないと指摘した。
”銀は昔から抗菌剤として使用されてきた。それが微生物に有毒であることは知られている”と彼は述べた。”EPAはナノ銀を環境暴露の様子が農薬のようであるとみなしている”。
ターコは、どのくらいのナノ銀暴露ならヒト健康に影響を及ぼすのか明らかではないと述べた。
しかし、銀溶解液は、ある人々にはプロバイオテックであるとみなされており、低用量のものが腸内健康のために時には使用されていると彼は述べた。
”ナノ銀は適切に使用されるなら多くの衛生上の利点をもたらすであろう”とターコは述べた。
”しかし、抗菌剤として見境なく製品中にナノ銀を含めることは警戒すべき問題を引き起こしている。
セプルベダは、異なるナノ粒子が魚と他の生物に及ぼす影響を理解するためのテストを開発することを計画していると述べた。
彼女はまた、ナノ銀の環境中での濃度を決定するテスト方法を開発することを望んでいる。
”もしこれらの粒子の濃度を知らなければ、どのようにしてリスクを知ることができるであろうか?”とセプルベダは述べた。
パデュー大学ヂスカバリー・パークがこの研究に資金提供をした。