・ミニシンポジウム24
膠原病と類似疾患1
座長:佐野 統1), 猪熊茂子2)(兵庫医科大学リウマチ・膠原病科1), 日本赤十字社医療センターアレルギー・リウマチ科2))
MS24-5.ステロイド,シクロフォスファミド,血漿交換の併用にもかかわらず腎不全に至ったWegener肉芽腫症の一例
清川智史 中野弘雅 大岡正道 山田秀裕 尾崎承一
聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病・アレルギー内科
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【症例】29歳男性.平成20年12月上旬より39度の発熱,咽頭痛,間欠的な鼻出血が出現し,12月24日他院に入院.
尿沈査異常,CRP高値,重度の腎障害(BUN/Cre=70.3/10.92),PR3-ANCA陽性,頭部CTでは副鼻腔炎が認められた.
腎生検を施行し,高度の炎症細胞浸潤を伴う壊死性半月体形成性腎炎が認められた.
Wegener肉芽腫による急速進行性糸球体腎炎と診断され,ステロイドパルス,高用量ステロイド内服,シクロフォスファミド内服が開始された.
また,腎不全に対して血液浄化療法が併用された.平成21年1月8日,当院に転院し,血漿交換療法を施行した(計5回施行).様々な治療の併用により,全身状態は軽快,CRPも陰性化したが,血液浄化
療法は離脱出来なかった.2月22日退院となったが,維持透析は継続している.
【考察】本症例は,急速進行性糸球体腎炎にて発症したWegener肉芽腫症である.様々な治療の併用により血管炎自体の活動性は低下したが,腎不全は軽快しなかった.
近年,血管炎症候群の治療は進歩し,病態に応じて免疫抑制剤や血漿交換療法が併用されるようになった.
しかし,現在も難治性,治療抵抗性の病態は存在し,より効果的な治療法が期待される.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催