・原因はグルパール?他社製品でも発症~悠香『茶のしずく問題』検証(1)
2011年8月29日 14:14
医薬品部外品の成分「加水分解コムギ末」を含む石鹸を使用したことにより、アレルギー症状を発症した報告が医療機関で相次いでいる問題で、(株)悠香が販売する『茶のしずく』以外の製品で小麦アレルギーを発症した患者が初めて確認されたことが、厚生労働省への取材で判明した。
対象となる製品は(株)コスメナチュラルズが製造・販売する洗顔用石鹸『サヴォン アンベリール』。
同社は悠香が自主回収を開始した後、健康被害の報告はなかったが、「加水分解コムギ末」を含む同製品を6月22日より自主回収していた。
その後、ある医療機関にて、医師がアレルギー症状を発症した患者に対して『茶のしずく』使用歴の有無を確認したところ、患者は『茶のしずく』でなく『サヴォン アンベリール』を使用していたと答えたという。
この2製品はいずれも「グルパール19S」という加水分解コムギ末を使用しているという共通点がある。
「グルパール19S」は、アレルギー学会の 「化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会」の中間報告でも、アレルギー症状を引き起こす成分に特定されており、まだ分析中であるが、アレルギー症状の原因としてほぼ断定して間違いないと言われている。
「グルパール19S」は(株)片山化学工業研究所が開発した加水分解コムギ末で、他の加水分解コムギ末より分子量が大きいために、アレルギー症状を引き起こしやすいという可能性がある。
悠香は同成分を、「洗顔後の使用感を良くするため」に配合していた。グルパール19Sが配合された『茶のしずく』は、2004年3月から10年9月26日にかけて合計で4,650万8,000個販売され、466万7,000人が購入している。
『茶のしずく』だけでなく「グルパール19S」を使用していた別の製品でもアレルギー症状が確認されたこともあり、アレルギー症状の原因は通常の「加水分解コムギ末」でなく、「グルパール19S」といわれる「加水分解コムギ末」が特に問題であった可能性が高い。
「グルパール19S」の含有濃度や石けんに含まれる界面活性剤との相互作用など、アレルギー発症の原因と疑われる要素は依然として残っており、特別委で分析中の段階だが、多くのメーカーが化粧品や石鹸などで「加水分解コムギ末」を使用しているなか、なぜ悠香の製品だけが? という疑問の一部は解消されたと言えるだろう。
現在、多くの化粧品メーカーが、健康被害が報告されていないにもかかわらず「加水分解コムギ末」を使用しているというだけで自主回収を決断し、『茶のしずく』による風評被害が業界全体に広がっている。
国立病院機構相模原病院の福冨友馬医師は「グルパール19S以外の加水分解コムギを使用している製品で、まとまった健康被害の報告が出ていない。しかし、グルパール19Sを含む茶のしずく石鹸で大規模な健康被害が起こってしまったことは事実なので、その他の加水分解コムギの安全性に関しても再検討が必要であり、現在調査中である」としており、グルパール19Sでない加水分解コムギ末を使用している化粧品メーカーも、引き続き注意が必要だ。