■輸入水銀が雑貨屋で安く手に入る
このような金の塊ができます。
男性が手にしているのは5千ドル相当の金です。
普通は家族で仕事をしていても1ドル50セントの収入にしかなりません。
その中で5千ドルの収入が得られることはひじょうに魅力的です。
貧困層がなんとか現金を手に入れたいということで金採鉱は増えています。
国内の水銀の取引は、国内の鉱山は閉鎖されているので、ほとんど輸入です。
合法的には歯科アマルガム利用などとして入っていますが、大半は闇市場を通じて手に入れています。
アメリカ、EU、アルジェリア、キルギスタンなどから入ってきています。
アメリカ、EUは2013年までに輸出を禁止し、アルジェリアはすでに採掘活動を中止し、キルギスタンも終了します。
すると供給源も変わってくるでしょう。
水銀の取引はアジア全体でも変化が起きています。
価格はkg当たり45~220ドルです。
地元の小売店でグラムあたり8から16円で入手できます。
歯科医院からも供給されています。
政府の推定する水銀放出量は2008年に年間70トンです。
デンマークの専門家が、小規模採鉱で年5トン放出されていると推定しています。
北部ミンダナオの小規模採鉱では2001年に140トン放出されたという数字もあります。
かなりの量が放出されていることがわかります。
水銀汚染はどの程度広がっているのか、水俣では30年以上にわたり75~150トンの水銀を水俣湾に放出しました。
フィリピンでは30年以上にわたり、年間30トン以上の放出が続いています。
フィリピンは、水銀による健康と環境の危機のただなかにあります。
抜本的な対策が取られなければ、水俣のような事態になると思います。
水銀は安くて手に入りやすいものです。お菓子、飲料水などが売られている普通の店で、このようにビニール袋に入れられて売られています。
安く手に入るので、未成年者も採鉱に参加し、日々のお金を手に入れることができます。
シアンを使って、廃鉱石からさらに金を回収する動きが増えています。
水銀とシアンの組み合わせで、より容易に有機水銀に転換します。
住民は、水銀の有害性と代替方法に対する理解が欠けているために、このような状況が続いています。