自閉症と水銀の関係第3部2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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② 乳児について
実験動物における知見として、新生仔ラットとサルでは胆汁中にメチル水銀を排出する機能が限られていることが知られている。

このため、新生仔は成熟動物に比べてメチル水銀の排泄に時間を要する。

また、授乳期における乳児の腸内の細菌叢も脱メチル化機能が低いことが考えられる。

ラット等の実験動物では出生時の成熟段階がヒトに比べて遅れて
いると考えられているが、それでもなおその知見がヒトに当てはまると仮定した場合には、ヒト新生児はメチル水銀の曝露のリスクが高い可能性が考えられる。

母乳が乳児の主要な曝露源になると考えられるが、ヒトの母乳に含まれる総水銀の16%がメチル水銀であるとの報告がある。

一方、イラクにおける中毒事例では、高濃度のメチル水銀に曝露された女性の場合には、母乳中の水銀の60%がメチル水銀の形態であるとされている。

母親が摂取する水銀の量が第61回JECFA以前に設定された暫定的耐容摂取量(3.3μg/kg体重/週)以下であれば、母乳を介して乳児が摂取する水銀量は0.56μg/kg体重/週となり、第61回JECFAの妊婦を対象とした暫定的耐容摂取量を十分下回る。
また、ラットにおいては、出生後の脳内水銀濃度が妊娠後期の濃度の約10分の1に減少すること、授乳による乳仔の曝露は最小であったこと、ヒトにおける乳児の赤血球の水銀濃度は減少し、出生後3ヶ月の乳児では出産時の臍帯血赤血球中水銀濃度の0.54倍となったことから、授乳中の乳児のメチル水銀曝露は胎児期に比較して減少すると考えられる。
③ 小児について
メチル水銀の小児への影響に関する調査は非常に少ない。

ほとんどの情報は、水俣、新潟、イラク等の中毒事件に基づくものであり、これらのすべては曝露量が非常に高く、またイラクにおいては急性曝露であった。乳児以外の小児を摂食指導の対象者としている国もあるが、具体的な根拠は示されていない。

また、成人や子供については、現段階ではメチル水銀による健康への悪影響が一般に懸念されるようなデータもない。

英国COTでは、子供の場合も成人と同様の効率でメチル水銀が排泄されること、子供が直接的に曝露した場合は脳への障害は成人の場合と類似していること、セイシェル疫学研究において、生後にメチル水銀を曝露した子供は出生前にも曝露していて事情が複雑であるが、この研究では、子供の神経系の発達にメチル水銀が関連する有害影響も証明することはできなかったとしている。
これらの知見から、胎児はメチル水銀の曝露に最も影響を受けやすいと考えられ、胎児をハイリスクグループとするのが適切であると判断された。

一方、乳児および小児については、現時点で得られている知見によれば、乳児では曝露量が低下し、小児は成人と同様にメチル水銀が排泄され、脳への作用も成人の場合と類似している。

したがって、ハイリスクグループは胎児と考えることが妥当と判断された