自閉症と水銀の関係第2部7 | 化学物質過敏症 runのブログ

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ここでは、ヒトを対象とした疫学研究のデータを用いたリスク評価を行うことができたので、動物実験の結果から外挿する場合に比べると、データの不確実性は小さいと考えられる。

疫学研究の対象は、最も感受性が高い胎児期に曝露を受けた児童であり、影響のエンドポイントも、最も鋭敏な神経行動学的、神経心理学的、あるいは神経生理学的な多種類の検査により検討がなされた。

調査対象地のセイシェルとフェローでは、民族的背景、食生活、言語を含む文化的環境や自然環境等大きく異なっているが、それぞれのNOAELに相当する値とBMDLは、大きくは異ならなかった。

したがって委員会としては、大規模なコホート調査が数少ない中、二つの研究結果に基づきリスク評価を行った。
フェローの調査では、胎児により近く、量反応関係解析の際の曝露指標として優れたものと考えられている臍帯血水銀濃度も測定されていた。

しかし、セイシェルの調査では妊娠中の母親の毛髪水銀濃度が曝露指標であった。

数少ない貴重な疫学研究の成果を利用してリスク評価を行うためには、二つの研究で共通している妊娠中の母親の毛髪水銀濃度を曝露指標とした。
さらに、臍帯血が曝露指標としてより優れたものだとしても、耐容摂取量を算出するためには臍帯血と母親の血液中の水銀濃度を換算する必要がある。

そのためのデータは充分とは言えず、また、変動の幅の大きいものであり、代表的な値や変動の幅の見積もりが困難であると考えられた。

ワンコンパートメントモデルでなく、胎児を別コンパートメントとしたより精緻なモデルを構築して算出することも論理的には考えられたが、そのようなモデルを構築するためのデータはこれまでほとんど見あたらない。

したがって委員会は、毛髪水銀濃度から血中水銀濃度に換算することを選択した。
今回のリスク評価では、フェローの調査ではBMDの95%信頼区間の低い方の値であるBMDLを採用し、セイシェルの調査では高い曝露群(母親の毛髪中水銀濃度で12ppmを越える群)の最低値である12ppmを採用するという安全サイドに立った判断をした。
不確実係数の採択にあたっては、採用したモデルの性質上、代謝の個体差(Toxicokinetic variability)は大きな影響を持つため、委員会は、毛髪と母体血の水銀濃度の比および生物学的半減期の変動の幅を不確実係数とした。

このことは、翻って考えると、毛髪水銀濃度で表現した曝露指標に対する感受性の差や、同じ摂取量に対する定常状態における血中濃度の差、ひいては観察の仕方ではやはり感受性の差を説明する要因と考えられる。


runより:これにて第2部終了です。

かなり難解ですが、まずは興味をと全文掲載にしています。

テーマは自閉症ですが化学物質過敏症、電磁波過敏症への関連は同じなのです。