自閉症と水銀の関係第2部5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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③ 不確実性
実験や調査はいかに精緻に計画され正確に実行されたとしても、常に不確実性を内包することから、この健康影響評価においても不確実性を考慮する必要がある。

通常のリスク評価では、動物実験の結果を外挿することが多いが、その場合動物種差に10、さらにLOAELからNOAELが推定される場合に10、ヒト集団における個体差に10の不確実係数が適用される。

その他、実験・調査の信頼性、影響の重大性等の要因に対しても、それぞれ最大10に及ぶ不確実係数が適用される。

上述の疫学研究はいずれも最も感受性が高いと考えられている胎児期曝露の研究であり、最も鋭敏な中枢神経系への影響を様々な検査法で検討したものである。

対象者もそれぞれ700から1,000に近い数であり、ヒトの研究としては充分な数と考えられる。

さらにフェローとセイシェルとでは、民族的な違い、文化的背景や自然環境等が大きく異なっている。

しかし、この二つの地域の研究で得られたBMDLとNOAELに相当する値は、比較可能な母親の毛髪水銀濃度では、それぞれ10ppmと12ppmである。

BMDLはNOAELに近いと考えられている。

したがって、これらのデータが内包する不確実性は小さいと考えられる。

また、ヒトのデータを用いたリスク評価においては、動物種差に対する不確実係数を適用する必要はない。

また、LOAELからNOAELへの推定等に対する不確実係数を適用する必要もない。しかしながら、生体におけるバラツキを考慮すると、以下のような不確実性が考えられる。

・毛髪水銀濃度から血中水銀濃度を推定するために、毛髪水銀濃度:血中水銀濃度の比、250が、これまでのJECFAなどによるリスク評価の際に用いられている。

この比は、調査ごとの集団の平均値としては140~370の範囲内にあり、個人のデータでは137~585の範囲にある。したがって、250を用いて毛髪水銀濃度から推定した血中水銀濃度の推定値は、平均値の変動の範囲から考えれば実際の血中水銀濃度の値の0.68倍(250/370)から1.79倍(250/140)、個人の値としては0.43倍(250/585)から1.82倍(250/137)となる可能性がある。

・報告されている生物学的半減期は、ボランティアが放射性メチル水銀を摂取した実験で、全身では70日程度であり、血液のコンパートメントでは50日とされ、その排泄係数は0.014となる。

実際に魚を摂取して求めた排泄係数もほぼ同様の値で、0.0099から0.0165であった。