自閉症と水銀の関係第2部2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(2)小児に関する知見
①平成15年6月薬事・食品衛生審議会の議論
小児に関して知見は無いとの参考人の意見が出された。
②総説等における記述
a)英国COT(薬事・食品衛生審議会(1))
小児に対するメチル水銀の影響に関する調査は非常に少ない。

メチル水銀は、小児の場合も成人と同様の効率で排泄される。
セイシェルにおける縦断研究は、メチル水銀の生後における曝露の影響を検討することが目標であった。

セイシェルにおいては、生後にメチル水銀に曝露した子供は出生前にも曝露を受けており、事情が複雑である。

また、この研究では、子供の神経系の発達に水銀が関連したいかなる有害影響も証明することができなかった。

しかし、生後におけるメチル水銀曝露がより高い群で検査結果が良好であるとの関連を示した。

メチル水銀曝露が相対的に高いことは、多量の魚類、すなわちn-3系多価不飽和脂肪酸およびビタミンEの豊富な食事を摂食することを意味し、メチル水銀の低濃度における慢性曝露によるわずかな神経機能の障害(deficits)に拮抗するかもしれない。
7.食品健康影響評価
魚介類に含まれるメチル水銀の食品健康影響評価を我が国において行う場合、日本人の魚を食べる食習慣・食文化を踏まえた日本人集団における独自の疫学調査に基づいて、リスク評価を行うことが望ましい。

しかしながら、現在そのようなデータは入手出来ないことから、現時点で得られている知見として、セイシェル共和国あるいはフェロー諸島等の海外で実施された疫学調査に基づいて評価を行うこととした。

(1)有害性の確認 水俣病やイラクにおける中毒事例については、数ある優れた総説において知見が整理されている。

メチル水銀の標的臓器は中枢神経系であり、典型的な中毒症状としては、求心性視野狭窄、聴覚障害、構語障害、運動失調が見られる。

最悪の場合、患者は昏睡に陥り最終的に死亡することもある。

曝露が軽度の場合、知覚異常や倦怠感が現れる。

これらの症状が発生する体内負荷量f(body burden)の閾値は、知覚異常では25mg、運動失調50mg、構語障害90mg、聴覚損失180mg、死亡200mg以上とされている。

WHO(4)は、成人では血中水銀濃度で200μg/L(毛髪水銀濃度では50ppmに相当する)で知覚異常等神経学的な影響のリスクが5%であるとしている。
発達途中にある胎児の脳はより感受性が高いと考えられており、妊娠中の母親にほとんど症状がないにもかかわらず胎児性水俣病患者が発生した。

これらの有害性は、マウスやラットの他、サルを用いた動物実験でも確認されている。したがって神経系に対する有害性は明らかであり、発達途中の神経系は感受性が高いことに注目すべきである。
免疫毒性は動物あるいはin vitroの実験での報告はあるものの、ヒトにおける影響について十分な知見は無い。

また、生殖毒性についても動物実験で観察されたものの、ヒトでの知見は無い。腎毒性についても、腎障害の症状が見られるのは明らかに神経毒性が発現するような曝露量のときだけである。

心血管系への毒性については、フィンランドの一地方における研究やヨーロッパとイスラエルの多施設共同研究でも報告されている。

しかしながら、より多数の対象者での米国での研究では、冠状動脈疾患と魚介類摂取を介したメチル水銀曝露に関連が認められないと報告されている。

さらに水俣病患者が発生した地域の住民調査では、心疾患による死亡の増加は見られていない。

結果が一致ない研究が存在することに加えて、n-3系多価不飽和脂肪酸が冠状動脈疾患のリスクを減少させるとの知見があるため、魚介類の摂取によるメチル水銀曝露の心血管系への毒性は複雑な要素を孕むことが想定され、今回のリスク評価において対象とすることは困難である。

しかし、今後も注目すべき影響ではあると指摘しておく必要はあろう。


runより:非常に難解な論文ですが、分かるとこだけ分かればいいと思ってもらえればいいと思います。

私も全部理解出来てる訳じゃないです(^▽^;)