自閉症と水銀の関係:シリーズ(1)6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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2.メチル水銀の概要
(1)メチル水銀の物理化学的性状
一般的に常温で固体、結晶である。

塩化メチル水銀、臭化メチル水銀、ヨウ化メチル
水銀等の各種化合物が存在し、沸点、融点等もそれぞれ異なっている。

また、一般に有機溶剤に溶けやすい。
(2)環境中の動態(メチル水銀の生成の仕組み)
水銀a,,bcの地球内循環はよく知られており、放出された水銀蒸気は水溶性(例えばHg++)となり、降雨により土壌や水域に沈積する。

水銀蒸気は0.4~3年間大気中に滞留するが、可溶性化合物になればその滞留時間は数週間程度である。
土壌や水域における移行はこのように限定され、狭い範囲内で堆積が起こるものと思われる。

無機水銀からメチル化合物への水銀の化学形態変換は、水圏における生物学的蓄積過程の第一段階である。

メチル化反応は非酵素的あるいは微生物の作用によっておこる(WHO(4))。
生成されたメチル水銀は、さらに水中の生物圏で食物連鎖と生物濃縮によって、人が食べる大型の肉食魚や歯クジラ等の海棲哺乳類に蓄積するものと考えられている。
(3)魚介類等に含まれるメチル水銀
多くのヒトにとって、食品においては、魚介類が重要なメチル水銀の曝露源となっていると推定されるが、一般的に、その濃度は、0.4ppm(mg/kg)以下である。

しかしながら、食物連鎖の高い位置をしめる魚類では、5ppmを超えることもあり、高齢、大型の肉食性の種類の魚や歯クジラ類は、比較的高濃度のメチル水銀を含んでいる。(第61回JECFA(2), WHO(3), (4))
(4)食品からのメチル水銀の摂取量
a 水銀の物質特定情報
「CAS No.:7439-97-6、元素記号:Hg、原子番号:80、原子量:200.61」
b 水銀の物理化学的性状
「沸 点:356.7℃、融点:-38.88℃、蒸気圧:0.1729Pa(20℃)、37.11Pa(100℃)」
c 水銀の用途
「体温計・気圧計・血圧計などの計測機器や照明器具や乾電池などの電気製品に利用されている。」
メチル水銀の摂取に関するデータがないので、総水銀の摂取量についてのデータを以下にまとめた。
日本人の食品からの水銀(総水銀)の摂取量は、厚生労働省のトータルダイエット調査によると、2003年において1.1μg/kg体重/週d(8.1μg/人/日)、1994年から2003年の過去10年の平均は、1.2μg/kg体重/週(8.4μg/人/日)と報告されている。

このうち、魚介類から84.2%、それ以外の食品から15.8%の水銀を摂取しているとされている(2003年)(薬事・食品衛生審議会(1))。
他方、諸外国の曝露水準については、第61回JECFAにおいて、0.3~1.5μg/kg体重/週(5地域のGEMS/Food Diet)、0.1~2.0μg/kg体重/週(いくつかの国の摂食調査)と報告されている。

(第61回JECFA(2), WHO(3))
なお、魚介類はメチル水銀の優勢な曝露源であり、魚介類の総水銀の75~100%はメチル水銀であると推定されている。

また、1999年にアドリア海で漁獲されたソウダガツオ、アブラツノザメ、ヨシキリザメのメチル水銀濃度は、総水銀の69~100%であった