■水銀は胎盤を通過する
魚介類は、有機水銀 (メチル基を含む水銀 )の摂取経路として有名です。
平成15年5月に日本の厚生労働省も遅まきながら大型回遊魚による妊婦への水銀の影響の警告を促しています。
マグロやサワラなどの回遊大型魚に蓄積した水銀が、人の体内水銀蓄積量に関係があることが、2001年の米国食品医薬品局(FDA)から公表され、この種類の魚には十分注意するようガイドラインが出されています。
特に妊婦や妊娠を計画している女性に対してはかなり警鐘を促しています。
日本人1人あたりが消費するマグロは、年間で約8㎏と平成14年10月に農水省から公表されましたが、体内水銀蓄積量が高い原因にはこのような背景が関係している可能性もあります。
食材などによって摂取された有機水銀は、胃腸器官系によって吸収されます。女性の場合、妊娠中または妊娠直前に水銀が含まれた食材を摂取することによって、胎盤を通過した水銀が胎児へ移行する可能性は少なくありません。
米国ATSDR(Agency For Toxic Substances And Disease Registry)の資料抜粋
水銀は毒性の強い物質であり、胎盤を通過し胎児にも影響を与える。
主な症状は、神経系統の機能障害で、運動機能、言語機能に障害を与える。
乳幼児において、見た限りでは正常児のように見えるが、発育とともに除々に症状が発現し、立ち歩きができ、発語がはじまる年齢になるに従い、症状が重くなる傾向があり、発語遅滞、社交性の欠如、運動遅延などを伴なう。
親が妊娠中に重度の水銀曝露があった場合、胎児に与える影響は重篤で、失明、筋肉萎縮症、てんかん、言語障害をともなうことがある。
■歯科治療で使用されてきたアマルガムからの水銀
虫歯治療で使用されている歯のアマルガム、ワクチンに含まれているチメロサールによる暴露量は、水や魚介類をはるかに上回るものです。
現在ではあまり使用されなくなったと言われているアマルガムは、虫歯の治療などで歯を削った後に詰められる鈍い銀色の詰め物で、安価で加工がし易いため最も一般的な材料として永年使用されてきました。
混合成分は、水銀が50%、銀が30%、残りは錫、亜鉛、及び、銅。
平均して5-10年間は持ちますが、比較的容易に腐食し、長期間の使用によって形も崩れます。
硬いものを食べたり、口の内が高い酸性に傾いたりした場合に、歯に詰めたアマルガムが水銀蒸気として蒸発します。
この水銀は、容易に胎盤を通過するということが知られています。
妊娠中の母親では、上記の理由によって水銀蒸気が母親の歯のアマルガムから析出し、血液中に流れ込み、胎盤を通過して胎児体内に簡単に入りこみます。
ひとたび水銀が細胞内に入ると、陽イオンの形に変換し、容易にタンパク質や酵素の硫化水素と強力に結合します。
細胞内に入った水銀がこの工程で強力に結合してしまうと、長期間体内に蓄積されることになります。
runより:アマルガムは化学物質過敏症、電磁波過敏症の原因の1つと言われています。
水銀問題は化学物質問題でもあるのです。