・清涼飲料水に係る汚染物質の食品健康影響評価
番号35 1,2-ジクロロエタン(案)
Ⅰ.評価対象物質の概要
1.用途
塩化ビニルの製造、エチレンジアミン、合成樹脂原料、フィルム洗浄剤、有機溶剤、混合溶剤、殺虫剤、医薬品、イオン交換樹脂(H4専門委員会報告)塩ビモノマー材料、エチレンジアミン、合成樹脂原料(ポリアミノ酸樹脂)、フィルム洗浄剤、有機溶剤、混合溶剤、殺虫剤、医薬品(ビタミン抽出)、くん蒸剤、イオン交換樹脂
2.一般名
1,2-ジクロロエタン、二塩化エチレン、エチレンジクロライド
3.化学名
IUPAC
和名:1,2-ジクロロエタン英名:1,2-dichloroethaneCAS No.:107-06-2
4.分子式C2H4Cl2 5.分子量98.96
物理化学的性状
物理的性状:特徴的な臭気のある、無色の、粘稠な液体。空気、水分及び光に暴露すると暗色になる。
この蒸気は空気より重く、地面あるいは床に沿って移動することがあるため、遠距離引火の可能性がある。
流動、攪拌などにより静電気が発生することがある。
融点(℃):-35.7
Ⅱ.安全性に係る知見の概要
1.毒性に関する科学的知見
(1)体内動態及び代謝
① 吸収
1,2-ジクロロエタンは、ヒト及び実験動物の双方において、肺や皮膚、消化管を通して速やかに吸収されるとみられる。
ラットに、1,2-ジクロロエタンを25、50、150mg/kg体重(溶媒:コーンオイル)で単回経口投与したとき、血中の最高濃度(それぞれ、13.3、31.9、66.8 μg/mL)は30 分以内にみられる。
また、別の試験において、ラットに150 mg/kg体重(溶媒:コーンオイル)で単回経口投与したとき、血中の最高濃度(30~44 μg/mL)は15 分以内にみられたと報告されている。
50 mg/kg体重までの投与量では、血中の濃度は、投与量と比例するが、100、150 mg/kg体重の投与量では、消化管からの吸収は飽和状態であると推定された。実験動物における吸入暴露においても、吸収は急速である。
ラットにおける600 mg/m3(150 ppm)の6時間吸入暴露において、血中の最高濃度(8~10 μg/mL)は、吸入中の1~2時間以内にみられた。