生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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測定器の近傍で電気機器を利用した時に測定されるような一過性の高レベル磁界が測定されており、それによって高い「寝室の磁界レベル」となっていると思われる例は、小児白血病の候曝露群には含まれていなかった。
対象者の中で磁界レベルが0.4μT 以上の割合は小さかった。

症例の場合は1.9 %および対照の場合は0.8%であった(表3)。

一方、磁界レベルが0.4 μT 以上の場合の1 週間の磁界レベルの変動を見ると、症例と対照いずれの場合にも昼間に高く夜間に低くなる周期的変動を示していた。

さらに、これらの群においては、一戸建ての場合では「周辺磁界レベル」の中の最高レベル、また、集合住宅の場合では「玄関磁界レベル」と「寝室の磁界レベル」とを比較すると各対象家屋の屋内磁界レベルと類似した値を示していた(表4)。

上述にように1週間の子供の寝室の磁界レベルの変動パターンと組み合わせて考えると、高い寝室の磁界レベルには屋外の電力施設からの磁界が全体的に寄与しているものと考えられる。
条件付きロジスティック回帰分析を行った結果を表3 に示した。

小児白血病全体(ALL+AML)を対象とした場合、参照カテゴリー群(0.1 μT 未満)を基準とした調整オッズ比は、磁界レベルが0.1~0.2μT の群 では0.94 (0.52 - 1.70)、0.2~0.4μTの群 では1.09 (0.52 - 2.32)、0.4μT 以上の群では2.6(0.77-8.96)であり、0.4μT まではオッズの上昇はみられず、0.4μT以上の群で上昇する傾向が見られたが統計的に有意ではなかった。他の磁界レベルのパラメータについても同様な解析を行った結果、いずれの場合にも同様の傾向が示された。
さらに、ALL とAML を分けて解析すると、ALL では有意なリスク上昇を示していた(上記と同様な調整オッズ比は、磁界レベルが0.1~0.2μT の群 では0.94 (0.52 - 1.70)、0.2~0.4μT の群 では1.09 (0.52 - 2.32)、0.4μT 以上の群では4.73(1.14-19.7))であった(表5)。

AML では、「寝室の磁界レベル」が0.4μT 以上を示す症例がいなかった(対照は2 例あった)ことから、同レベルのリスクは0となり、上記の小児白血病全体についてのリスク上昇傾向はALL での有意なリスクを反映していることが示唆された。