・既に、1~4号機については廃炉が決まっている。
原子炉建屋が吹き飛び、原形をとどめないほど大破、原子炉格納容器がむき出しになった3号機を始め、4基の原発は、これから数十年の歳月と1基5000億円ともされる費用をかけて、処分されていく。
その隣で、運転再開など「世間の常識」ではありえない。
有識者による「福島県復興ビジョン検討委員会」は、事故を起こした第一原発にとどまらず、第二原発の廃炉も求める方針を打ち出している。
そうした情勢を踏まえ、佐藤雄平知事は6月末の県議会で「原子力に依存しない社会を目指す」と、再稼働を否定した。
だが、東電は原子力政策の継続を信じて疑っていないようだ。
その証拠に、1~4号機の津波対策以上の熱心さで5、6号機に取り組んでいるように見える。
しかも、細大漏らさず情報を公開している、と言いつつ「聞かれたこと以外は答えない」という姿勢は事故以前から変わっていない。
これから詳述する5、6号機の大規模な防波堤工事は、私が今回問い合わせるまで伏せられていたのである。
東電は、津波の最高水位を5.7mと想定、それに備えて防波堤を築いていたが、襲ったのは15mの大津波。
防波堤をなぎ倒し、高さ10mの敷地に立つ1~4号機のタービン建屋を襲い、海水に浸した。
これによりタービン建屋内の電源系が機能喪失した。
余震による再度の津波を怖れた東電は、5月中旬から網や籠に石を充填し、それを積み上げる仮設防潮堤の設置に着手、6月末に完成した。
東電は公開仮設防潮堤の写真を公開しているが、3号機のタービン建屋から集中廃棄物処理施設に至る長さ362m、海面からの高さは14mのもので、マグニチュード8程度の地震で想定される高さ7~8mの津波を防ぐことができるという。