子どもの健康と室内の空気汚染対策2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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室内空間の化学物質濃度は建材・家具など発生源からの化学物質の発散強度、室内空気の換気などによる濃度の低減対策、室温、化学物質の物理的、化学的性質等によって左右され、空間分布も変化する。

化学物質の濃度測定については厚生労働省が示している標準的測定法を基本として行われているが、採取条件は測定結果を左右する最も大きな要因である。

人の健康への影響は、化学物質の摂取量、摂取期間とその空気に暴露される人の化学物質に対する感受性に関係する。

そのため室内空気中化学物質の健康影響評価は施設や部屋の用途、利用者に対応したものでなければならない。

特に、現在社会問題になっている化学物質過敏症(CS)に罹患した場合は、シックハウス症候群を惹起する濃度よりも一桁以上も低い濃度にも反応し体調不良を発現するためにシックハウスガイドライン(健康指針値)は参考にならないとされている。

一旦罹患すると診断と治療が確立されておらず、長期にわたり日常生活に制約が生じ、身体的苦痛にとどまらず、家族や社会との関係においても多くの問題が生じる。

 健康指針値の中でも、クロルピリフォスは小児等弱者に対する別の指針値が設定されている。子どもは大人に比べて体重あたりの呼吸量が多いために化学物質の負荷は相対的に大きく、免疫系、代謝系が十分には発達していないため化学物質の影響を受けやすい。

その上、化学物質への暴露空間が大人と同じでないために、子どもが利用する保育園、幼稚園、児童館などの施設における空気質の管理には特別の注意が払われねばならない。

 本特集では、広瀬恢がまずこれまでのシックハウス対策の経過を分析して現状と課題を整理した。

つづいて、内山巌雄氏が化学物質から子どもの健康を守るために、子どもの行動パターン、子どもの身体的特徴を考えた測定、保育所や学校において配慮すべき点を解説した。

今村清氏は的確な診断や環境の改善対策の基本となる室内空気中化学物質の測定方法とその精度の検討事例を紹介し、藤田清臣氏は室内空気中化学物質低減対策を発生源の重要な分野である建材・家具対策の面から展望した。

そして、山内稚恵氏はCSの患者の立場から発症のきっかけ、CSが判明するまでのの経過、日常の生活状態について報告した。

 この企画が化学物質による室内空気汚染と健康問題、さらに化学物質の利用のあり方について考えるきっかけになることを願っている。

CSは公害病の室内版ともいえ、20世紀における化学物質文明の負の部分であるが、現在の関連する各分野間の連携した取り組みを発展させることによって必ずやこの問題を克服できるものと確信している。