―ネオニコチノイド・有機リン農薬の危険性―  | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin03_53_07.html

・環境化学物質と子どもの脳の発達障害
―ネオニコチノイド・有機リン農薬の危険性― 
東京都神経科学総合研究所 黒田 洋一郎
1.有機リン農薬による発達障害
 有機リン農薬に汚染された子どもに注意欠陥多動性障害(ADHD)が多いという米国での疫学調査が報道された(朝日新聞2010年5月18日夕刊)。

子どもの脳神経系の疾患や障害は米国では20世紀の後半の化学物質汚染時代から増加し、日本でも近年、高機能自閉症や学習障害(LD)、ADHDが増加し、2002年の文科省調査でこれら軽度発達障害児は全学童の6.3%に達している。
2 .発達障害の環境原因としての化学物質汚染
 「胎児性水俣病」のように、周産期の母親が環境化学物質に汚染されていると、生まれた子どもに脳などの発達障害を起こすことがある。

米国では、PCBなど化学物質で汚染された五大湖の魚を食べた母親から生まれた子どもに知的障害や神経症状が目立ち始めた。

1950~70年代からPCBや殺虫剤、除草剤などの化学物質による環境汚染がグローバル化し、日本や米国などではほとんどすべての人からPCBなどの化学物質が検出される。母体の汚染により、胎児や乳児の複合汚染も進行している。

出産前後の周産期は、脳の発達、ことにシナプス形成が最も盛んな時期であるが、成人には存在する血液・関門は未発達で、化学物質が脳に移行しやすい。
3 .環境化学物質が遺伝子の働き(発現)を撹乱
 環境ホルモンの基本毒性メカニズムは「遺伝子の働き(発現)の撹乱」、すなわち“にせホルモン”がホルモン受容体を介する正常な遺伝子の発現を撹乱し、受精卵から始まる発生・発達過程に障害を与えることにある。

ヒト脳の発達には、数万といわれる 遺伝子が、各種ホルモンを含む、数多くの生理化学物質によって精緻に調節されながら発現し、行動を決定する神経回路ができ上がっていく。

このため生理化学物質に類似した非常に幅広い多様な環境化学物質群が、脳の発達を傷害する可能性がある。
 脳をつくりあげるための遺伝子群の発現は、ホルモンだけでなく、神経伝達物質(注1)でも調節されている。

アセチルコリンなど神経伝達物質を介するも
のなども記憶・学習をはじめとする脳の高次機能の発達に重要なことが知られている。

したがって脳の高次機能の発達は、“にせホルモン”(PCB、ビスフェノールAなど)だけでなく、“にせ神経伝達物質”(ネオニコチノイド系農薬など)や神経伝達物質の代謝に異常をおこす環境化学物質(有機リン系農薬など)が遺伝子発現を撹乱して子どもの脳の発達に障害を与える可能性がある。