・●増加するネオニコチノイド系薬剤
筆者は、シックハウス症候群問題を専門とし、各官庁や業界の「建材からのVOC放散速度基準化研究会」「健康住宅研究会」などの委員会に14年間かかわり、また、某地方裁判所の民事調停委員、専門委員、鑑定人等の活動を通じて、多くのシックハウス患者の実態を調査してきました。
最近は、従来のホルムアルデヒドや有機溶剤などのVOCに加えて、新築の高級マンションや建売住
宅の居住者が、ホルムアルデヒドやトルエンなどによる症状とは異なる新しい症状を訴えるようになりました。
住宅に使用される合板や木質建材として、従来から使用されていた「クロルピリホス」は、2003年以降使用が自粛されていますが、「フェニトロチオン」などの有機リン系薬剤は今も使用されています。
最近は、「フェニトロチオン」に替わるものとして、有機リン系薬剤より「安全である」と称して、クロチアニジン、アセタミプリドなどのネオニコチノイド系薬剤の登録が増えています。
表1と2に示すように、有機リン系薬剤やネオニれに課された①から⑤の規制に違反した場合には、3年以下の罰則もしくは100万円以下の罰金が科さ
れます(法17条)。
Q 農薬取締法の登録制度とはどのような手続きでしょうか?
A 農薬の登録手続きは、まず、製剤メーカーが個々の製剤ごとに登録申請を行います(法2条)。
このとき、製剤メーカーは、①登録申請書(農薬の種類・性状・成分・適用病害虫の範囲及び使用方法等)、
②薬効、薬害、毒性、残留性に関する試験成績資料、
③農薬の見本を提出します。
申請を受けた農林水産省は、独立行政法人農林水産消費安全技術センターにその農薬を登録しても良いか否かの検査をするよう指示します。
指示を受けた農林水産消費安全技術センターは、製剤メーカーが提出した②試験成績や③農薬見本について総合的に検査を行い、その結果を農林水産大臣に報告します。
この結果から、農林水産省はその農薬を登録するか判断します。
また、農林水産省と環境省は、当該農薬の登録保留基準を設定するために協議を行います。
この協議では、食品衛生法の残留農薬基準を定める厚生労働
省からの意見を聴取し、内閣府食品安全委員会などが審査します。
登録の要件を満たした農薬には、メーカーに対して、農林水産大臣からの「農薬登録票」が交付されます。
この農薬の登録は、3年間有効です。
平成20年3月において登録されている有効登録件数は、4,289件(有効成分数は526種類)です。
その内訳は、殺虫剤が約28%、殺菌剤が約22%、殺虫殺
菌剤が約12%、除草剤が約31%、植物成長調整剤が約2%、その他が約5%となっています。