3.防蟻剤、殺虫剤、防ダニ剤について
防蟻剤とは、イエシロアリやヤマトシロアリ等が木質材料を採食して、木造建築物の強度を低下させたり、資産価値を低下させることを防ぐため、土壌や木部に施す薬剤です。
防蟻処理には、床下に種々の製剤形態の殺蟻剤を散布する方法の他に防蟻剤を含んだ種々の材料で土壌を被覆する方法があり、これらが主な発生源となっています。
我が国における空気中防蟻剤の発生量はほとんど明らかにされていませんが、施工後の期間や気温、湿度、場所、居住環境の換気率によって大きく左右されます。
防蟻剤を使用した建築物において、その発生による空気中濃度を低下させる技術は確立していません。
畳やカーペット等に虫やダニが発生することを防止する目的で薬剤が施されている場合があります。
これらの薬剤はごく微量ずつ空気中に放散します。
また、スプレー式や加熱式の殺虫剤を使用すると室内空気中濃度が急増します。
防蟻剤、殺虫剤、防ダニ剤のほとんどは農薬として用いられるもので、かつては有機塩素系農薬が主体でしたが、現在は有機リン系、カルバメート系、ピレスロイド系のものが大部分です。
これらの薬剤には急性毒性、神経毒性、免疫毒性、変異原性・発がん性において注意すべき物質が含まれており、事故事例がいくつか報告されています。
なお、平成15年7月までに、建築基準法により、クロルピリホス(防蟻剤)の使用は禁止になります。
4.内分泌かく乱化学物質について
身体の外から侵入して生体の内分泌作用をかく乱する化学物質を、内分泌かく乱化学物質または外因性内分泌かく乱化学物質と称しています。長い名称なので、環境ホルモンという言葉が使われることもあります。
環境省は約70種類の化学物質を内分泌かく乱作用が疑われる物質としてリストアップしました。
それらの中には室内空気環境に存在する可能性がある物質が含まれています(表4.)。
・ 東京都健康局地域保健部及び健康安全研究センターでは、人がこれらの物質をどの程度吸入しているのか、暴露量を把握するため室内環境中の内分泌かく乱化学物質に関する実態調査を進めています。
なお、健康住宅研究会(国土交通省、厚生労働省、経済産業省他)は、安全な居住空間を実現するために優先的に取り組むべき物質として、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの3物質と木材保存剤、可塑剤、防蟻剤の3薬剤を選定しています。