・■週刊実話6月9日号(5月26発売) 放射能を20日間で95%除去するヒマワリの能力
東日本大震災の被害は漁業、牧畜、塩害による稲作中止など拡大する一方。
さらには放射能汚染で深刻さを増すばかりだ。
「たとえはコメ生産量全国ベスト10入りを常に果たしている宮城県の水田では、通常塩分が0.1%以下でなければ稲作はできませんが、現状は10倍の濃度に達しています。
これを改善するには、水田に石灰を撒き、水を入れるという作業を何度も繰り返す。
作業期間に10年、排水ポンプなどの機材だけで1000億円かかります。
その間、稲作農家の収入はゼロです」(宮城県農村振興局整備部)
そこで今脚光を浴びているのが、『ファイトレメディエーション』という技術だ。これは植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、土壌や地下水中の汚染物質を吸収、分解する技術のことをいう。
「対象となる有害物質はカドミウム、鉛などの重金属や、NOx、SOxなどの大気汚染物質のほかヒ素、リン、セレン、トリクロロエチレン、窒素化合物、環境ホルモン、そしてウランをはじめとする放射性物質など、非常に多種多様な汚染物質を吸収することができるのです」(北里大学放射線生物学研究室)
実は、チェルノブイリ原発事故後の1995年、高濃度の汚染地域に入った米ラトガーズ大学のスラビツクデュシェンコフ博士ら旧ソ連出身の植物学者が、高濃度に汚染された原発そばの池の水を利用し、約20種類の植物を栽培したところ、ヒマワリがバツグンの吸収力をみせたのだ。
「30年以上かかる土壌の放射性物質の除去を、わずか20日で95%以上除去したという記録が残っている。
根は半減期30年のセシウム137を、花はストロンチウム90をその期間で吸収してしまった」(前出・同)
事実なら原発30キロ圏内をヒマワリで植え尽くせば、栽培期間を入れても避難住民の早期帰郷が可能となる。
ファイトレメディエーション能力を持つ植物に『アイスプラント』と呼ばれる南アフリカ原産の食用植物がある。
ハマミズナ科メセンブリアンテマ属の植物で、表皮に塩を隔離するための細胞があるため、葉の表面が凍ったように見えることから名づけられた。
フランス料理の食材として注目を浴び、スーパーでも手に入る食材だ。
「これを塩害地域で栽培すれば塩害除去と収穫の一石二鳥。研究の余地ありです」(前出・同)