・核兵器開発とプルトニウム
プルトニウムは核兵器の製造にもっとも適当な核物質である。
ただ、プルトニウム-240の自発核分裂にによって中性子が発生するために核物質のほんの一部しか爆発しない恐れがあり、プルトニウム-239の比率が90%以上の「核兵器級プルトニウム」の製造が求められる。
そのために、黒鉛減速型原子炉を用い、ウランの照射時間を半年以下にするようにしている。
爆弾の構造も高濃縮ウランを用いるものとは異なる。
1945年8月9日に長崎に投下された原子爆弾にはプルトニウムが用いられた。
その後に、大気圏内で核兵器の爆発が繰り返えさわれ、爆発しなかったプルトニウムが大気中に撒き散らされ、広く地上に降下した。
降下量の正確な値はわからないが、約5tに達すると推定されている。
化学的、生物学的性質
プルトニウムの化学的性質を簡単に述べることは難しい。
金属は表面が酸化されやすく、時には発火する。
不活性な気体の中で処理せねばならない。
代表的な化合物に4価の化合物が多く、二酸化プルトニウム(PuO2)は高温にも耐え、核燃料に用いられる。
水酸化物、酸化物などは水に溶けにくいことが多いが、溶解度は酸性度、有機物の存在などの化学的条件によって化学的挙動は大きく異なる。
体内に取り込まれた時の生物学的:半減期は、骨で50年、肝臓,でも20年、生殖腺ではさらに長いと考えられている。