・22.プルトニウム-239(239Pu)
半減期 2.41万年
崩壊方式
アルファ線を放出して、ウラン-235(235U、7.04億年)となる。
生成と存在
天然では、ウラン鉱石中にごく微量が存在するが、問題になる量ではない。地球上にあるものはすべて人工放射能とみてよい。
人工的には、ウランの中性子照射でつくられる。
ウラン-238(238U)の中性子捕獲で生じるウラン-239(239U、23.5分)がベータ崩壊してネプツニウム-239(239Np、2.36日)が生まれ、その崩壊で生成する。
核兵器の材料と原子炉燃料として用いられる核物質である。
原子炉運転とプルトニウムの生成
原子炉を運転すると、プルトニウム-239が生成し、核分裂するとともに中性子を捕獲してプルトニウム-240(240Pu、6,560年)などが生じる。
したがって、原子炉内に蓄積するルトニウムは、いくつかの同位体の混合物である。
2年間運転後の軽水炉内にあるプルトニウムの同位体組成の一例を表1に示す。
表1 使用済み核燃料中に含まれるプルトニウム同位体組成※
・※2年間運転した電気出力100万kWの軽水炉の中にあるプルトニウム1kgに対する値
表1について、いくつかの特徴を示す。
1)プルトニウム-239とプルトニウム-241は遅い中性子の照射で核分裂する。
2)プルトニウム-240とプルトニウム-242は、小さな比率で自発核分裂によって崩壊する。
この時に中性子が放出されるので、核兵器材料としてプルトニウム-240の存在は不適当である。
3)アルファ線を放出する同位体の中でプルトニウム-238の放射能強度がもっとも大きい。
4)プルトニウム-241はベータ線を放出して、アメリシウム-241(241Am、433年)となる。
10年経過すると、5.4兆ベクレル(5.4×1012Bq)のアメリシウム-241が生じる。100年経過すると、120兆ベクレル(12.0×1012Bq)のアメリシウム-241が生じ、どのプルトニウムより放射能強度が大きい。
電気出力100万kWの軽水炉を2年間運転する時に生じる約60tの使用済み核燃料の中に約600kgのプルトニウムがある。
原子炉の運転状況によって葉変わるが、プルトニウムの比率は約1%として大きな誤りはない。