しかし、経済ジャーナリストの山本伸氏は、「天下りの受け皿を作ってきたに過ぎない」と指摘する。
「東電OBや経産省、文部科学省の官僚、大株主である東京都や、親密企業の天下り先として、雨後の竹の子のように増やしてきたのです」
不必要なグループ企業の整理・売却が急務だが、それに並行して東電本体が持っている不動産などの資産売却も徹底しなければ、国民は到底納得しない。東電は神奈川県の『鎌倉荘』や『大磯クラブ』などをはじめ、27の宿泊施設や厚生施設を保有しているが、今後どの施設を売却するのかについては「検討中」(広報部)だという。
いずれも一企業の保養所としては豪華で目を引くものばかりだ。
「東電の有価証券報告書によると、東電が保有している上場企業の有価証券は約3000億円で、非上場の有価証券は700億円です。
その金額は有価証券を取得した時の金額(簿価)なので、日経平均株価が3000円に満たなかった昭和40年代頃までに買ったものがあれば、かなりの含み益があるはず。
現在の日経平均株価は3倍以上になっていますから、有価証券を売れば1兆円くらいになる可能性もあります」(証券アナリスト・植木靖男氏)
東電が保有している土地も広大だ。
「東電は約2億7000万平方メートルの土地を持っていますが、このうち2億4000万平方メートルは発電施設などに使用されているため、売却の可能性があるのは3000万平方メートルで、約1000万坪です。
都心であれば坪単価は200万円くらいになりますが、そうでなければ数万円のところもあるでしょう。
でも、平均坪単価を10万円で計算しても、ざっと約10兆円ほどにはなる。
有価証券と不動産を売却し、不必要な関連会社などをすべて売却することができれば、もしかすると賠償金を支払うことは可能かもしれません」(前出・植木氏)
政府は「賠償責任は一義的には東電にある」とし、東電に長い将来にわたって賠償金を支払わせ続けるスキームを作成した。
電力会社10社で作る新機構に政府が交付国債を投入し、東電は自己資金と新機構からの支援や金融機関からの融資、政府からの原子力損害賠償法に基づく保険金で賠償金を捻出し、機構に月賦で負担金を返却していく。
東電を潰さずに〝生殺し状態〟にして重い責めを科した格好だが、一方で「なぜ東電を助けるのか」と憤る国民感情も噴出している。
「法的整理による更生手続きには多くの手間と時間がかかり、理論上、被災者に損害賠償が履行されなくなる恐れがあります。
直ちに被災者に賠償金を届けるためには、政府のスキーム以外になかなか良策は見つからない。それでも電気料金の値上げなどの懸念は残ります」(一橋大学大学院・商学研究科の山内弘隆教授)
独占事業で得たカネで買った豪華な服を脱ぎ去り、パンツ一丁になってでも賠償金を支払う---。
東電が罪を贖うには、すべての財を吐き出す覚悟が必要だ。
runより:ね、絶対儲かる企業でしょ?
生活必需品の電気、高くても使うわな。
高くもできないでしょうね、こんなに資産あるんだから・・・