・上田市と青木村は、信濃公害研究所に委託して各々の地区内で散布後のフェニトロチオンの気中濃度を測定したが、検出限界の0.05μg/m3以下であった。
私達(孫ら、2009)も長野県駒ケ根市の山林で昨年6月10日にスミパインMCが有人ヘリコプターで同様に散布された時に、散布された松林内の林床部と周辺地域で検出限界0.02μg/m3、回収率108%という分析条件で散布最中の気中濃度を測定したが、いずれも検出限界以下であった。
MC(マイクロカプセル)製剤の特徴として、ヘリコプターのいわゆるダウンウオッシュと呼ばれる下降気流によって散布された薬剤が樹冠部に到達する割合が高いだけでなく、長野県の山林のように樹高が高く、うっ閉率が高い(逆に言えば開空度が小さい)松林では、薬剤は枝葉に付着して捕捉される割合が高く、林床部に落下したり周辺地域に飛散する割合は想像する以上に低い。
環境省が設定した生活環境中のフェニトロチオンの気中濃度の評価値は10μg/m3なので、それよりも200分の1以下、又は500分の1以下の濃度で急性的な毒性影響がでることは考えられない。
個体レベルの毒性作用発現には閾値があるというのは、毒性学の基礎である。
体調不良の原因は別にあると考えるべきである。
一方、無人ヘリコプターによるマツグリーン液剤2の散布は、6月23日~24日と7月17日に上室賀地区(5ha)で、6月24日と7月19日に武石小山地区(5ha)で行われた。
マツグリーン液剤2(有効成分アセタミプリド2%)は10倍希釈液が40ml/ha散布されたので、有効成分量に直すと、アセタミプリド0.0008g/m2に相当する。
農業用に使用されるモスピラン水溶剤(有効成分アセタミプリド20%)は、2,000~4,000倍希釈液を200~700ml/10アール散布だから、有効成分量に直すと0.001g~0.007g/m2に相当する。
従って、散布面積当り有効成分量で比較すると、松林に散布されたマツグリーン液剤2は、農業用の場合とほぼ同じ程度か、より少ないと言える。
散布された方法は異なるが、私達(市川ら、2008年)が群馬県で2年にわたって実施したマツグリーン液剤2の飛散調査でも、周辺地域へのアセタミプリドの飛散は認められていない。
この薬剤は蒸気圧(<1×10-6Pa/25℃)が低いので、通常はガス化して気体として飛散することも考えられない。
日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ」は、持ち込まれた嘘の情報(岐阜県の裏金問題)の真偽を確認せずに報道してしまったことについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の勧告に従って、8月23日に番組内で誤報検証結果の要旨を放送し、幹部が謝罪もした。
今回のNHKテレビの「クローズアップ現代」が流した視聴者に事実と異なる印象を与えた映像が、BPOへの提訴に値する行為であったかどうかは意見がわかれるところだろうが、影響の大きい番組なだけに、編集責任者の注意を喚起することぐらいは必要かもしれない。
runより:要約すると急性中毒を取り上げ、化学物質過敏症に触れてないと筆者は語ったと思われます。
>体調不良の原因は別にあると考えるべきである。
この言葉がどれを意味するかですが・・・