「空散で人と生き物があぶない」ではないのか3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・■番組内容の問題点

「松が危ない」という視点からつくられている。

国谷キャスターが最後のほうで、「健康被害は防ぎたい。

しかし、松林も守りたい。

空散とどう向き合っていけばいいのか」と言ったが、これは逆ではないのか。「松は守りたい。しかし、健康被害は防がなくてはならない・・」ではないのか。「空散で人と生態系が危ない」という視点でつくられるべきではないのか。


「ひじょうに効果が高いと言われている空散」と番組中で3度も言い、そのことを鵜呑みにして検証していない。

空散が松枯れを防止できないことは、これまでの長年の実績で証明されているはず。

毎年、各地で空散を続けながら、青森まで広がってしまっている。松枯れによる被害面積にも変化がない。


松枯れの原因について、マツノザイセンチュウ説のみを取り上げている。

他にも病菌説、大気汚染説、乱開発説、生態遷移説、センチュウ地中伝播説などの原因説があって、いくつかの原因が重なって起きていると考えるのが自然である。

しかし、番組では、松枯れ=マツノザイセンチュウ=マツノマダラカミキリ→空散による防除という図式を鵜呑みにしている。


空散による健康被害については、目が痛い、のどが痛いなどの軽い症状を簡単に紹介するだけで、有機リン等によるめまい、視野狭窄、頭痛、鼻血、吐き気などのもっと深刻な症状、さらには、化学物質過敏症の発症者には生命があぶない事態が起きているのに、報告していない。

その結果、一般視聴者は、これくらいの被害なら、気をつけて散布すればいいのではないかと思ってしまう恐れがある。


松林を守るのは自明の理として、その必要性について検証していない。
 松は、元来痩せて乾燥し日当たりの良い土地を好む。

昔は落葉落木を肥料・燃料として利用していたので松に適した環境であったが、現在では利用されなくなり、林地は肥沃化し地表付近への日当たりも悪くなってきている。

つまり、生育環境が松に合わなくなってきている。

しかし、松が枯れると何も育たないのではなくて、他の樹木が育ち、林相が変わっていくのである。
 それゆえに、松が売りものの観光地や松以外は生えない場所の防災林等の特別な場所以外は、何がなんでも松は守らなければならないということはないのではないか。


土砂崩れの原因が松枯れであるかのように報告している。

枯れた松木を取り除き、別の木を植えるなどの対策を怠ったのが、真の原因であるはずである。


空散による住民の健康被害や自治体の空散中止の動きについて、一応報告はしているが、全体としては以下のようなコンセプトが見えてくる。

松が枯れている→大変だ、何とかしなくては→農薬空散は効果がある→住民の健康被害もある→他の代替法もお金がかかったり、時間がかかるなど、決め手を欠く→(空散を、安全な方法ですればいいのではないか・・・・?)

 さすがに、( )の中までは言っていないのですが、空散をはっきり否定していない全体の論調からいくと、そう推察できるのです。
 NHKは、空散によって健康・生命を脅かされている人たちのことをきちんと報道して、空散の問題点を"クローズアップ"すべきではないでしょうか。
(安間節子)


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参考文献

「もう止めようよ、松枯れ農薬空中散布」反農薬東京グループ発行 1996年
「松枯れ-農薬空中散布では防げない-」日本消費者連盟発行 植村振作著 1998年