・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
・ナノの話 (1) ナノ日焼け止め
二酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子
1.日焼け止めの仕組み
日焼けは、太陽光線の中でも波長の短い紫外線が皮膚のメラニンの保護能力を越えて照射されて起きる熱傷です。
また、過度に紫外線を受けると、発症数は多くありませんが皮膚がんのリスクが増加すると言われています。
したがって紫外線をカットする日焼け止めが使用されます。
日焼け止めで紫外線を防ぐ方式には、紫外線を反射する紫外線散乱剤を用いる方式と、紫外線そのものを吸収して化学反応で熱や赤外線に変える紫外線吸収剤を用いる方式があります。
紫外線散乱剤は、紫外線を物理的に反射・散乱させて、紫外線の肌への照射を防ぎます。
主に二酸化チタンや酸化亜鉛などの白色の無機粉体が使われています。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収すると熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出し、紫外線の皮膚への照射を防ぎます。
しかし、皮膚表面での発熱や発熱時の紫外線吸収剤の化学反応により、皮膚に負担を与えると言われています。
2.ナノサイズの二酸化チタンや酸化亜鉛
日焼け止めには、紫外線散乱剤として比較的安全であるとされてきた白色の二酸化チタンや、酸化亜鉛が多く使われてきました。
しかし近年は、少量の成分で紫外線防止効果を上げ、白色を透明にして仕上がり効果を上げるために、二酸化チタンや酸化亜鉛をナノサイズにした"ナノ日焼け止め"が市場に出ていると言われています。
ナノサイズにすることで粒子の比表面積が桁違いに大きくなり、また物理的特性が変わる(この場合は白から透明)というナノ粒子の特性を利用しています。
しかし、ナノ成分の表示義務がないこと及びナノ粒子の使用に対する消費者の不安を恐れて、世界的にメーカーがナノ粒子の使用を表示しない"ナノ隠し"の傾向があります。
特に日本では、ほとんどのメーカーが表示していません。
したがって、消費者は製品がナノ粒子を使用しているのかどうか判断できません。