・滝ヶ崎 娘の学校の保護者に娘の話をすると、大変ね、かわいそうねという言葉が返ってくる。
その言葉の裏には、うちはそんな特別な病気にならないから大丈夫という考えを感じる。
うちも気をつけたほうがいいかな、と思ってくれる人はほとんどいない。
しかし、度々学校を訪問して子どもたちの様子を見ていると、危険な状況に来ているのではないかなと思う。
ホームセンターで鼻水が止まらなくなる子、家具屋で頭が痛くなって外に出る子、新車にしたら窓を開けないと乗れない子、油性ペンで気分が悪くなる子、プールの塩素消毒施設の傍を通ると咳き込む子(全部別の子)が私の知っているだけでも、学年50名くらいの中で、これだけいる。
これらの症状はすべて、発症者が思い当たる症状だ。
今では化学物質過敏症という言葉は知らない人はいないくらい浸透してきた、しかし、特別な、稀な病気と考えている人がほとんどなので、わが子の症状と結びつかない。
そして、有害なものを使い続けているという状況がある。30年前は花粉症の子どもはいなかったが、今は大変多い。
発症者が増えてから認知されるのでは、遅過ぎる、重症者が増える前に、みんなが気をつけて有害なものを排除できるように、CSに関する正しい知識を広めることが大事だ。
大島 ある近畿の行政にCSの相談窓口がないかと聞くと無いとの答え。
シックハウス症候群はあると言う。重なり合っているし、よく似た病気だと言っても理解しない。
なぜCSは無いのかと聞くと、医学界が認めていないからだと。
病名が認められた後も、同じ対応である。ここをクリアしないといけないと思う。
そのためには、患者さんの存在そのものを見せていくことだと思う。目の前に困っている患者さんがいるという事実から、医師もジャーナリストも出発しなくてはいけない。
行政に対して、ここに患者という存在がある、何もしなくてもいいのかとつき付けていくということが大切。
シックスクールで、一人一人が同じようなことを繰り返している。経験・蓄積を共有すること、行政が経験・蓄積のある人をアドバイザーとして生かすよう求める運動も必要ではないか。
槌田 化学物質アドバイザー制度はPRTR制度ができてつくられた。工場と住民の間の橋渡し役である。
CSに対してまだ具体的な活動はできていないが、そういう役割の人間が必要であると感じた。患者さんは症状を訴えるだけで疲れてしまうが、その時に客観的に説明して相手が理解できるようにする人間(化学物質アドバイザー)が傍にいるといいと思う。
理解されない苦しみは症状による苦しみに加えて増幅すると思うが、理解を助ける役割が担えればと思う。
質疑応答:省略
(まとめ 安間節子)