そして2008年4月、池袋労基署から結論が出ました。
Aさん、Bさんが03年に発症した傷病は、同一事業所の複数の労働者の自覚症状を呈したことから、ばく露直後の2ヶ月足らずの急性期は業務上と説明しながらも、「その後、症状が遷延化していることについては、未だ医学的知見が得られていない」とする個別症例検討会の意見書をそのまま引用し、Aさん、Bさんがその後も長年にわたり苦しんでいる症状については不支給としたのです。
Bさんは、この事故による疾病での休職中、表向きは契約期間の満了ということで解雇されそうになりました。
公共の相談機関等を利用して、なんとか雇用は確保しましたが、会社は「責任は労災の結果で判断する」の一点張り。
そんな折、この不支給処分を知った会社は、一切交渉を受け入れなくなり、雇用をつなぐことが難しい状況に陥ってしまいました。
現在、Bさんは個人加入の労働組合で再び雇用を確保して交渉を重ね、将来職場復帰をして生活の糧を得ることを目標にリハビリを行っています。
しかし、事故を基点に続く症状を事故とは無関係とされた場合、職場復帰をあきらめなくてはならない事態も起こりうるのではという不安が常にあるそうです。
「労災保険がその制度上、一生を補償するものではないこと、症状固定という判断があることも十分わかっています。
しかし、労働災害にあった者が、会社と交渉し職場復帰を行って自立して生活できるような環境を整えるといった意味でも、業務中に起きた事故を起因とし、その後も続く症状についても、きちんと労災で認めてほしいと思います」とBさんは訴えています。