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千葉市等行政施設における農薬等の使用実態報告
有害化学物質から子どもの健康を守る千葉県ネットワーク
事務局長 半澤勝男
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今年3月、千葉市等千葉県内22市町の行政施設における農薬等化学物質使用状況の調査報告書をまとめました。
この調査のキッカケは、街路樹や畑に農薬が散布されて苦しんでいる化学物質過敏症の患者の会員が、市役所に規制してほしいと申し入れてもなかなか対応してくれない現状がありました。また、農薬散布の仕方も国の通知やマニュアルを無視した散布になっていることが明らかでした。この状態は他の自冶体も同じではないかと考えました。そこで現状を調査し、そのデータをもとに行政に働きかけていくことにしました。
調査の結果、国の通知やマニュアルなどが現場に届いていない所が多いこと、相変わらず薬剤の定期散布が続けられていること、市民による活動があるところでは適切な対策がとられていた事などが判明しました。また、自治体は国から法律や通知などで指導がされても、実施状況について検証されるシステムが無いと「通知」などの実効性がないことをあらためて知らされました。
■調査の方法
調査方法は県内の京葉地区22市町を選び出し、アンケート形式で回答を求めることにしました。依頼文書は「行政施設での化学物質使用状況調査」として首長あてに送付しました。
調査依頼事項は ①調査年度:平成19年度、20年度の2ケ年度のデータ、②調査物質:殺虫・殺菌剤、除草剤などの農薬、芳香剤、漂白剤、消毒剤、床ワックなど、③調査項目:施設ごとに、商品名、薬剤名、使用倍率、使用量(別紙記入用紙)、④事前広報の有無、⑤調査対象施設:市有の全施設と公園・街路樹。
調査依頼した22市町で担当した組織は、環境保全課が7ケ所、管財・契約課が5ケ所、総務・広報課が4ケ所、地域・市民課が2ケ所、保健・子ども課が4ケ所とバラバラでした。環境部局が担当していたのは7市だけでした。
行政の環境対策が形式的、問題意識が希薄で、対策が不充分な状態にあることが白日にさらされる結果になっています。この環境の中で、環境省・農林省の通知が出先機関に届いていないのは当然でした。
■調査の経過
このように市町がバラバラの体制の状態のため、調査データの回収も期待通りには進みませんでした。6月に調査を依頼して、回答回収は11月までの半年も要しました(1市からは回答なし)。当会の調査依頼を受けた市町は、初めて全施設のデータ集約をしたところが多数ではないかと推測されます。
農薬等の散布にあたって「害虫の生息調査」をして、より毒性の低い薬剤を使用していた市をみると、そこには当会の会員が活動していました。これまでに繰り返し行政に働きかける活動があった市でした。この調査活動を通して、市民の活動の大切さを再確認しました。
この調査は、大野博美千葉県議(市民ネットワーク千葉県)の政務調査費による委託事業として取り組みました。当会の会員が、調査データをPC入力するボランテイア作業で完成させました。この成果を、3月25日に県庁記者室で記者会見して発表しました。続いて、22市町などに「報告書」を発送しました。今後はさらにデータの補強をして2版目の発行を準備していきます。
調査報告書の構成は以下です。
1. 化学物質等の薬剤別・施設別使用の概要について
2. 各市町の特徴と問題点の総括表
3. 各市町の使用状況について
4. 千葉市回答内容とその問題点
5. 薬剤別の使用個所の調査について
6. 施設別に使用される薬剤の調査について
7. <参考>農薬等化学物質の毒性