香料の健康影響3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・変異原性(DNAに傷をつける。

生殖により、子孫に受け継がれる)  香料自体が変異原性を持つ場合があるが、さらに他の物質の変異原性を高めることもある。
 多くの香料が、サルモネラ菌で変異原性を示すとされているが、特に合成ムスクに顕著で、生体外異物を排出するトランスポーターを阻害する性質があり、毒性を発揮する可能性がある。
 天然に由来する化学物質は安全であると誤解されているが、ローズマリー、月桂樹、マジョラムの香気成分の1つであるテルぺネオールは、変異原性を示したと報告されている。

ローズマリー、ベイリーフ(月桂樹)は肉料理に家庭でよく使われ、その他マジョラムも、前述2種と共に調合スパイスに広く含まれている。

■発がん性(DNAが傷つく)
 香料の発がん性は、よく検討されていない。

しかし、一部の香料には発がん性があり、また一部は他の化学物質の発がん性を高める。
 ベンゾフェノン(アリルケトン)は、光重合開始剤や香料として用いられるが、小動物実験により、尿細管腫、単核球白血病の発生、また、肝細胞肉腫、嗅上皮の異型性、組織球肉腫の増加が見られた。
 クマリンは、天然に存在する重要な化合物の基本的構造を持ち、香水、化粧品、その他、また食品フレーバーとして使われている。

実験により、多様な発がん性(尿細管腺腫、肺胞、細気管支の腺種とがん、肝細胞線種)があり、前胃の扁平細胞乳頭腫もわずかに増加するという結果を示した。
 ベンジルアルデヒドは、食品、飲料、医薬品、香水、石鹸、色素製造に使われるが、一部に発がん性の証拠が確認された。

d-リモネンは、柑橘類の果皮に含まれ、香りを構成する物質である。肝臓の尿細管過形成や腺腫、腺がん発生率増加が認められた。
 アリルイソバレレートは合成香料で、1950年から広く使われている。石けん・洗剤、クリーム、香水、非アルコール飲料、アイスクリーム、ゼラチン等に広く使われている。この物質は、造血器の新生物を発生させた。
 ムスクケトンは、化粧品に用いられる典型的な合成化合物である。

水中や堆積物、魚等の中に見られ、人間の脂肪組織、母乳中から検出される。ムスク類は、遺伝毒性を強める物質であることが知られ、ムスクケトン被ばくは、人間が発がん物質による害を受け易くし、ひいては、生体異物を排出する能力を阻害する。

■香料の残留・汚染
 合成ムスクは、パーソナルケア製品や家庭用製品に添加されている。

合成ムスクはまた分解されにくく、下水処理場でも処理できず、河川や海、空気中に排出される。アパートや幼稚園でも検出されており、化学物質に対する感受性の高い子どもや病人へは、強い影響が考えられる。

■香料の規制
 日本では、製品に何種類使用しても、「香料」としか記載義務がない。

ヨーロッパでは、21種類の香料成分の記載が必要である。
 日本のみでなく世界的に香料製品の規制はゆるく、香料自体および製品を作るために使用するフタル酸や防腐剤などの添加物による人体や環境への影響が懸念されている。

■提言
 香料にはよい効果もあり、香料を利用した製品の関連企業により、その効果は広く情報が提供されている。

しかし、負の側面の情報は提供されていない。香料には健康への悪影響がありうる。

香料には心地よく感じるのと逆の作用もあり、香料による不快感を訴える人たちもいる。
 香料は、例え安全な化学物質のみが使用されていたとしても、臭いを好ましいと感じる人々の場でのみ使用すべき化学物質である。

使用を法的に直ちに規制されなくとも、公共の場などで使用するのは自粛すべきである。

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(注) ムスクは、雄のジャコウジカの腹部にある香嚢から得られる分泌物を乾燥した香料、生薬の一種。ワシントン条約により商業目的の取引は原則として禁止された。

そのため、現在、香料用途としては合成香料である合成ムスクが用いられている