遺伝子と化学物質過敏症 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html

遺伝子と化学物質過敏症(MCS)

 ある場合には多種化学物質過敏症、MCS(multiple chemical sensitivity)とも呼ばれる、多種化学物質不耐性(multiple chemical intolerances)に苦しむ人々は、頭痛、一時的記憶障害、混乱、疲労、鬱、興奮、呼吸困難など広い範囲の症状を訴える。

これは、微量の殺虫剤や溶剤などの化学物質に対する耐性が減少した結果による現象なのか、あるいは、ある人々が言うように、化学物質への理不尽な恐怖や心理的ストレスの表れなのか? トロント大学疫学者ガイル・マッケオン-イッセン(Gail McKeown-Eyssen)と彼女の同僚たちは、このようなことが起こるのは実際には遺伝子によるものではないかと示唆している。

 2004年10月に疫学国際ジャーナル(International Journal of Epidemiology)に報告された研究は、多種化学物質不耐性を持っていると報告されている女性たちと持っていない女性たちとの遺伝子的相違を初めて調査したものである。

女性も男性も、ともに多種化学物質不耐性を持つと報告されているが、いくつかの研究では女性の方が男性より影響を受けやすいかもしれないと示唆している。

 研究者たちは203人の患者と162人のコントロール(健常者)をトロント大学健康調査の回答者の中から募集した。

彼らは、ジェームス R. ネザーコットと彼の同僚がアーカイブ・オブ・エンバイロンメンタル・ヘルス、1993年1・2月号で発表した、ある化学物質の低レベル曝露に関連する慢性の症状がその曝露を取り除くとなくなることで患者を定義する方法を含む、以前の研究から引き出した基準を用いて、多種化学物質不耐性患者を特定した。

 トロント大学の研究者たちは、患者たちが、二つの遺伝子 CYP2D6 と NAT2 の、ひとつ又は二つの特定の遺伝子多型(polymorphism)(訳注:同じ遺伝子の塩基配列にいくつかの型があることを意味する)を持っている場合が、コントロールが持っている場合より著しく多いということを見つけた。

CYP2D6 は、中枢神経を標的とする薬物(様々な抗鬱剤、興奮剤、コデイン(鎮痛・催眠剤)-全て異なる化学構造を持つ-を含む)、乱用麻薬、神経系毒素、発がん前駆物質(より活性な化合物に代謝された場合にのみ発がん性物質になる)、及び自身の体の神経伝達物質のような化学物質を代謝する酵素に作用する。

NAT2 は、様々な薬剤やエポキシや染料の製造に使われる化学物質の一族である芳香族アミンなどの有毒化学物質の代謝に役割を果たす。

 CYP2D6 より活性の高い遺伝子多型を持つ女性たちは、その遺伝子の不活性な型を持つ女性たちよりも、3倍以上、多種化学物質不耐性でありやすい。同様に、NAT2 のいわゆる速いアセチル化酵素(rapid-acetylator)を持つ女性たちは、4倍以上、多種化学物質不耐性でありやすい。