性同一性障害5 | 化学物質過敏症 runのブログ

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精神科領域の治療 [編集]

精神科領域の治療としては、当事者のQOL(生活の質)の向上を目的として次のようなことを行う。

非寛容によりもたらされがちな自己評価の低さを改善させる。
ジェンダー・アイデンティティやそれに基づく自己同一性を再確認させ、「自分は何者であるか」を明確にさせる。
社会生活上に生じうる様々な困難を想定し、その対処法を検討させる。
実生活経験(リアルライフ・エクスペリエンス、real life experience, RLE)を通じて、それに伴う困難も体験させた上で対処法を検討する。
抑うつなどの精神症状を伴っている場合には、その治療を優先して行なう。
最終的に、今後どのような治療を希望するかを冷静に決定させる。
これらの診療は性同一性障害かどうかの診断と重なる部分もあるので、平行して行われることも多い。

身体的治療 [編集]

身体的治療にはホルモン療法、乳房切除、性別適合手術がある。

ホルモン療法 [編集]

当事者の身体的性別とは反対の性ホルモンを投与することで、身体的特徴を本来の性に近づける。

ジェンダー・アイデンティティに一致する性別での社会生活を容易にするとともに、身体の性の不一致による苦悩を軽減する効果が認められている。

性ホルモンの投与によって、身体的変化のほか、副作用をともない、また身体的変化には不可逆的な変化も起こり得る。

ホルモン療法の開始にあたっては、性同一性障害の診断はもちろん、性ホルモンの効果や限界、副作用を充分に理解していることや、新たな生活へ必要充分な検討ができていること、身体の診察や検査、18歳以上であること等のいくつかの条件がある。


MtFに対してはエストロゲン製剤などを、FtMに対してはアンドロゲン製剤を用いる。

投与形態は注射剤、経口剤、添付薬があるが、日本においては注射剤が一般的に使われる。

添付薬に次いで注射剤が副作用が少ないが、長期にわたる注射のために、注射部位(多くは三角筋あるいは大臀筋)の筋肉の萎縮を引き起こすことがある。

生物学的男性へのエストロゲン製剤、および生物学的女性へのアンドロゲン製剤の投与をおこなった場合、次のような変化が起こり得る。なかには不可逆的な変化もあり得る
高分解能MRIによる生体研究により、生きている状態での脳の研究が進み、その中でMtFおよびFtMに対する性ホルモン投与前・投与後の脳容積の変化・可塑性などが確認されている。

医学的対処を求めて受診する性同一性障害者の中には、早急なホルモン療法の適用を望む者も多いが、ガイドラインにそった治療においては、精神科領域の治療と性同一性障害の診断、ホルモン療法の適応判定を省くことはできない。

他方で、男性化した身体は不可逆的であることから、せめて女性化を促すのではなく単に男性化を一時的に停止させる抗男性ホルモン剤の使用はより広く特に未成年者に認められるべきであるとする見解もある。

乳房切除 [編集]

FtMの場合、アンドロゲンを投与しても乳房の縮小はほとんど起こらないので乳房切除術が必要となる場合がある。

乳房が小さい場合には乳輪の周囲を切開して乳腺など内部組織を掻き出し、余剰皮膚を切り取る方式をとる。

これは瘢痕が目立たない。

乳房が大きい場合や(乳房を不快に思って圧迫するなどにより)下垂している場合には、乳房の下溝に沿って皮膚を切開する方式を用いる。

乳頭は一度遊離させて適切な位置に移植する必要がある。瘢痕が目立つことも多い。

性別適合手術 [編集]

身体を本来の性に適合させる外科治療のうち、内性器・外性器に関する手術を「性別適合手術」(sex reassignment surgery, SRS)という。

MtFに対しては、精巣摘出術、陰茎切除術、造膣術、陰核形成術、外陰部形成術がある。

FtMに対しては、子宮卵巣摘出術、膣粘膜切除・膣閉鎖術、尿道延長術、陰茎形成術がある。

MtFでは精巣摘出、FtMでは子宮卵巣摘出によって、生殖能力(子供をつくる能力)は失われる。

これは不可逆で、もとに戻すことはできない。

また、骨粗鬆症などの可能性から、ホルモン療法は生涯にわたって継続すべきものとなる。