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これまであまり意識されてこなかった苦土(マグネシウム)を積極的に施肥すること。AML農業経営研究所の武田健氏らが提唱。
苦土をやったら見違えるほど生育がよくなったという事例が各地で生まれている。
現在は石灰や熔リン、あるいは堆厩肥などの入れすぎによって、リン酸や石灰、カリが過剰で、苦土が欠乏している畑が多くなっている。
そこで、不足する苦土を硫酸苦土、水酸化苦土といった単肥で補う。
苦土は葉の葉緑素の構成元素であり、酵素の成分でもある。
また苦土はリン酸といっしょに吸収されるという性質をもつので、苦土の施用で、たまっていた「リン酸貯金」をおろすことができる。
リン酸がよく効くようになると、やがてそれまでたまって動かなかった石灰やカリも吸われだし、石灰やカリを積極施肥するケースもでてくる。
たまって動かなかった養分全体が動きだすようになるのが、苦土の積極施肥の醍醐味であり、そういう意味で苦土は「起爆剤」なのである。
苦土単用で語られることが多い「苦土の積極施肥」だが、苦土とリン酸、苦土とカリと石灰の塩基バランス(五:二:一がいいといわれている)が大切で、バランスをとる形で苦土を生かすことが重要である。
それには土壌診断や生育診断が欠かせない。
武田健氏は苦土の積極施肥と糖度計診断は必ずセットで行なうことをすすめている。