・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
http://homepage3.nifty.com/run2das/sawadakinkyu2011.html
2011年福島原発事故 澤田昭二 名大名誉教授 緊急Q&A
1.原子炉事故の現状
東京電力の福島第1原子力発電所、第2原子力発電所、東北電力の女川原子力発電所が地震と津波の被害を受けましたが、東電の福島第一原子力発電所の1号炉から3号炉は稼働中でしたが地震で停止した後冷却水を送るすべての機能が不能になり、濃縮ウラン燃料棒(enriched uranium fuel rod)が水から露出して冷却できず燃料棒の表面を覆っていたジルコニウム(zirconium)金属が融け、水あるいは水蒸気の酸素を奪って酸化し、そのため残った水素が発生し、1号炉と3号炉では水素爆発する深刻な事故になってしまいました。
点検で運転していなかった福島第一原子力発電所4号機から6号機までは原子炉から引き抜いた燃料棒を、同じ建屋のプール内に入れて冷却していましたが、連鎖反応がストップしても燃料棒内には大量の放射性物質(核分裂生成物fission products)が蓄積していて、放射線を出し続けており、この放射線のエネルギーで水の温度が上がり4号炉は水が蒸発して燃料棒が露出して高温になり火事が起こりました。
このプールは建屋内にありますが、圧力容器のように外部と遮断されていないために水による遮蔽が効かないで放射性微粒子が大気中に放出されます。そのため原子炉周辺に近づいて冷却水を注入する作業員(ヘリコプターの自衛隊員と消防車から放水している署員)は被曝を続けています。
もっとも怖れられていることは、壊れた燃料棒から外に出てきたウラン燃料が原子炉やプールの底に集まり、臨界量を超えて核分裂の連鎖反応が始まると、莫大なエネルギーが放出されて大爆発(未成熟な原爆の爆発)を起こすとチェルノブイリ事故のようなことになります。
そうならないように地上と上空からの注水と、電源が回復して給水機能の回復が成功することを願っています。