・ANは、以下の2種類のサブタイプに分類される。
制限型神経性無食欲症(AN-R)
制限型のAN(restricting type)では、食物を口にすることを重度に制限するが、AN-BPに見られるような行動は行ったことがない。
無茶食い-排泄型神経性無食欲症(AN-BP)
無茶食い-排泄型のAN(binge-eating/purging type)では、食物を過量に摂取した後、自分で嘔吐を誘発して、あるいは利尿剤、下剤等を用いて、食物の排泄を試みる、というエピソードを行う。(しかし、下剤や利尿剤では食物の吸収をほとんど妨げることはできない。)排泄する代わりに、無茶食いの後に数日間絶食する場合もある。
2002年の「DSM-IV-TR」の診断基準も同様である。
その他の診断基準として、厚生労働省の診断基準やICD-10の診断基準も存在する。
原因ANの発生原因については議論があるが、生物学的要因・心理的要因・社会的要因の3つの要素があると考える人が多い。
生物学的要因についても様々な研究が報告されている。
器質的な脳の病変の存在は明らかにされていないが、二卵性双生児よりも一卵性双生児の方が一致率が高いこと、AN患者の家族にはうつ病、アルコール依存、強迫性障害や摂食障害が多いことから遺伝的要因の関与も考えられている。
ANの発病に関連する遺伝子もいくつか見いだされてはいるが、結論は出ていない。
視床下部におけるドパミン、ノルアドレナリン活性の異常を指摘する研究もある。出産時の合併症(頭蓋内出血、低体重など)がANの罹患率を増加させるという疫学的研究もある[1]。
心理的要因が発病に影響しているのは明らかであり、ANの発病前には、発病に関連する何らかのエピソードが見出されるのが通常である。
海外の研究において、摂食障害の患者は健常者よりも高い確率で幼少期に性的虐待を含む虐待を受けた経験をもつという報告もあるが、他の精神疾患においても高い確率で性的虐待の既往が報告されており、摂食障害と性的虐待を直接的な因果関係は不明である[2]。
またかつて、1970年代などの初期の研究において、高学歴や家庭の経済状態がよいことなどがANの罹患率と相関するという報告がなされ広く信じられていたが、その後の研究ではこの説を支持しないか、むしろ逆の結果が示されることもある[3]。
その他にも精神力動学的に様々な考察がなされている。
性的な成熟に対する恐怖・女性であることの否定:女性は第二次性徴を迎えると、皮下脂肪をたくわえ身体が丸みを帯び、乳房がふくらむなど身体が変化する。
これらの身体変化に伴い、男性の性的関心の対象となるのを嫌悪・拒絶する心理からANを発症する場合もある。
肥満恐怖:肥満への恐怖・嫌悪が存在することが多い。
「太っている」などとからかわれることが発症のきっかけとなる場合も多い。
また女性の場合、第二次性徴によって皮下脂肪の蓄積するため、前述の性的成熟拒否と肥満恐怖が混合している場合も多い。
母親となることの拒絶:摂食拒否によって母親になることを拒絶しているという説。
対人関係の障害:原因なのか結果なのかは不明であるが、対人関係に障害を有する症例が多い。
失感情症(アレキシサイミア):自らの感情に気づくことができない・できにくいことを「失感情症(アレキシサイミア)」という。
ANも失感情症の要素があることが指摘されており、自らのストレスやつらい気持ちに気づかず(否認して)、その代わり身体症状で表現しているという可能性がある。
完璧主義・強迫性も、AN患者においてしばしばみられる。
嗜癖(依存症)としての要素:ANの初期に、摂食量を制限して体重が減るという結果を得て満足し、更に摂食量制限にふけり、独特の気分高揚を示すことがある。
この心性は薬物依存やギャンブル依存などの嗜癖行動との共通点があると言われている。
社会的要因もANの発症に関与している。
メディアにおいてやせた女性、元気で快活な女性が賞賛され、内面よりも外見を重視するような風潮は、ANの発症の大きな要因であろう。
実際に、12~21歳の2862人の思春期少女を18か月間追跡調査したところ、90人が摂食障害を新たに発症したが、発症に関与した因子として一人で食事をすること、少女雑誌をよく読むことやラジオをよく聴くことが挙げられた[4]という研究もあり、メディアの影響がうかがわれる。
芸能界やモデル業界などの美を競う業界や、痩せていることが重要だと考えられているスポーツ選手においてANにかかる患者がいることが注目を集めている。2006年にはファッションモデルのアナ・カロリナ・レストンが21歳の若さで死亡したことで話題となった。
2006年現在、当疾患および神経性過食症をあわせた「中枢性摂食異常症」は厚生労働省の特定疾患に該当し、重点的に研究が進められている。
治療他の精神疾患がそうであるように、ANも社会的・精神的・肉体的な要素を併せ持つ複雑な疾患である。
早期の治療は治療の成功率を高める。
治療法は、入院・外来での疾患教育、認知行動療法や集団療法などの心理療法、薬物療法、家族のカウンセリングなどが中心となる。
患者が病気であることを否認する場合や、ANの存在を容認したとしても治療には拒否の姿勢を示す場合はよくみられる。
さらには、治療を認める姿勢を見せて、実際には出された食事を隠れて捨てる、などの行為も少なからず見られる。
治療にあたっては、体重増加のみを治療目的とすべきではない。
「とにかく食べろ」といった強硬な姿勢を家族や治療者が見せることは、通常逆効果となる。
長い間ANと戦っている患者にとって、食物を食べること自体が大変な苦痛・恐怖につながるためである。
また体重増加以外にも、患者の主体性を重視し、人間としての成熟、対人関係の充実、実生活での適応などを援助することが重要だからである。
以上のように、適切な医師-患者関係、家族-患者関係を築くことが最も大切である。
インターネット等で摂食障害患者、元患者との交流を持つことがよい影響をもたらす場合もある。
治療により軽快した場合、再発や、神経性大食症の発症に注意する必要がある。
厚生労働省の特定疾患に該当し(前述)、治療法についても重点的に研究が進められている。
runより:摂食障害なのですが非常に危険な状態まで自分を追い込んでしまいます。
本人に自覚が無い、または否定するのが治療を困難にするという病気です。
私見ですけど触って少し肉感があるほうが好きですよ。