・4 主な症状など
人体には有害化学物質に適応する能力,すなわち化学物質許容量が備わっているが,それには限界があり,主に新築・改築が契機となり様々な症状が発症する場合がある。
シックスクール症候群は,新築・改築後数箇月以内に,校舎内に入ると頭痛・めまい・臭覚過敏・動悸・微熱・皮膚症状などを発症するのが特徴的であるが,中枢神経・自律神経機能障害に基づく多彩な症状を呈し,学校から離れると軽減する特徴を有している。
児童生徒は,大人と違って症状をうまく表現することができないため,落ち着きがなくなったり,注意力がなくなったりといった情緒面の変化や,アトピー性皮膚炎や喘息などが悪化するなどの身体的症状が現れる。
これらを予防し,未然に防ぐために,日常的に児童生徒の体調の変化を注意深く観察し,本マニュアルに沿った適切な対応が求められる。
予 防 対 策
シックスクール症候群や化学物質に起因するアレルギー性疾患の誘発を予防するには,施設整備における建材等の選定に当たり,「対策指針」に基づく「室内空気汚染低減対策仕様書」(関連マニュアル編2~3ページ参照,以下「対策仕様書」という。)により,日本農林規格(JAS),日本工業規格(JIS)などの規格による化学物質を含まない,あるいは放散量が少ないものを使用するよう関係機関と調整を図ることはもとより,化学物質の室内濃度の測定を行い,対策指針に示す指針値以下でなければ引渡しを受けないこととする。
また,学校においても,日常的に換気の徹底を図るとともに,児童生徒の健康管理を行い,健康状態の変化をいち早く把握し,適切な措置を講じることが重要である。