・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム13
薬物アレルギー・化学過敏症
司会者:飯島正文1), 長谷川眞紀2)(昭和大学医学部皮膚科1), 国立病院機構相模原病院臨床研究センター2))
MS13-1.CD40L発現を指標とした薬疹の原因薬剤診断法
樋口哲也, 佐藤貴浩, 横関博雄
東京医科歯科大学医学部皮膚科
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【目的】薬疹の原因薬剤の診断法は,詳細な問診,原因薬剤中止後の経過による判断,パッチテスト,DLST(Drug-induced stimulation test)(薬物リンパ球刺激試験 ),内服テストなどがあるが,いずれも安全性や確実性,また時間がかかることなどの点において問題となる.
今回我々は,薬疹患者末梢血と薬剤を培養し,CD4(CD4抗原は分子量59kDaの単鎖膜貫通型糖タンパク)(+)細胞中のCD40L(CD154)(抗原提示細胞のインテグリン/T細胞(CD4陽性ヘルパーT細胞)のリガンドの相互作用として、CD40/CD40L(CD154)がある。)発現を測定することで薬疹の原因薬剤の特定が可能か否かを検討した.
【方法】臨床経過から薬疹が疑われた患者を対象とした.
末梢血単核球を分離し,被疑薬剤とともに抗CD28抗体で刺激し,Brefeldin A存在下で数時間~24時間程度培養した細胞をフローサイトメトリーで解析した.
またDLSTの結果や臨床経過と比較して検討した.
【結果・考察】臨床経過などから薬疹と診断された症例の一部において,特定の薬剤と共に培養した細胞のCD4(+)細胞中に,CD40L陽性細胞がコントロールと比べて多く検出された.
皮疹が出現してから本試験までの期間が短い症例において陽性率が高かった.
今回,一部の症例においてCD40Lの発現の増強が観察できたことから,薬疹の原因薬剤の診断方法としての有効性が示唆された.
今後さらに症例を重ねて,培養の条件や試験を行う時期とCD40L陽性率の関係,また薬疹の型による傾向などを考察し,臨床応用の可否を検討して行く予定である.
第58回日本アレルギー学会秋季学術大会 2008年11月開催