・wikipediaより
性依存症(せいいそんしょう・せいいぞんしょう、Sexual Addiction)は、性的な行動に対する嗜癖であり、精神疾患である依存症の一つである。
概要 [編集]性的対象に依存している間は、脳内より快感物質が放出されるため、不安から一時的に逃れられるメカニズムにより起こる。
幼児期や成人への成長過程で肉親からの愛情が得られなかったことに起因する場合が多い。
「セックス依存症」という呼称が用いられることもあるが、依存する対象は実際に相手のある性交渉だけでなく自慰行為やポルノへの過度な耽溺や収集、強迫的な売買春、乱交、露出や覗き行為、性的ないたずら電話やインターネットを介したアダルト・チャットなど全ての性的な活動が考えられる。
依存症患者は性的な興奮や刺激に溺れることが習慣化し、徐々に自己コントロールを失う。
ギャンブル依存や買い物依存などと同じく「行動(process)への依存」に分類される。
性依存症は1970年代から主にアメリカで研究されてきたが、1998年にクリントン大統領の不倫スキャンダルが性依存症に起因したものであるという説が取り上げられて以来、一般での認知度が急激に高まった。
近年ではアルコール依存や薬物依存、ギャンブル依存(賭博依存)と並び代表的な依存症であるという考え方が広まりつつある。
症状による影響 [編集]過度な性行動が続くと体に負担を与えるが、それ以上に問題なのは、無軌道な性交渉で性病に感染したり、望まない妊娠を引き起こす可能性である。
性依存症患者の多くは、性行為におけるプロテクションをほとんど行っていないと推測される。
また、性依存が深刻な状態にある患者は安全を考慮せずに危険な区域や状況に足を踏み入れる傾向があり、例えば非合法な売買春などに絡んで事故や犯罪に巻き込まれ怪我を負うなどの例もある。
不倫行為や性犯罪が原因で、社会的な信用や地位を失ってしまったり、友人や家族を失くしたケースも少なくない。
日本国内における性依存症 [編集]日本国内において性依存症はいまだ認知度が低く、「セックス中毒」といったような興味本位の記事として取り上げられることが多い。
医師やカウンセラーの中にもそうした研究が行われていることすら知らない者がおり、患者が病院を訪れても思うような治療やアドバイスが受けられないこともある。
性依存症の定義における論争 [編集]そもそも「性的な行動への依存」を依存症のひとつとして位置づけるのかどうか、また、どのあたりに「正常」と「依存症」の境界を引くかなどで、長い間論争が続いている。「依存症」ではなく、行動制御障害であるという論もある。
また、性依存症という概念を一切認めないとする考えを持つ人々も存在する。
アルコール依存症やギャンブル依存症などが疾病及び関連保健問題の国際統計分類でICD10コードが振られ正式に病気として認定されているのに対して性依存症は病気としては公認されていない。
浮気をしても性依存症という病気だと言えば罪が減免されるため精神障害の診断と統計の手引きで依存症の定義に当てはまらないような浮気や不倫の言い訳として用いられる場合もある。
自助グループ [編集]その他の依存症と同じく、性依存症にも患者による自助グループが存在する。
欧米では州ごとに多数存在すると見られる。
国内でも小規模ではあるが、首都圏にグループがあり、定期的に集まるなどして個々に快復へ向けた活動を続けている。
多重嗜癖の問題 [編集]性依存症患者にも、他の依存症患者と同様に多重嗜癖に陥っている者が少なくない。 例:アルコール依存と性依存、恋愛依存(人間関係依存)と性依存など
性犯罪と性依存症との関係 [編集]性依存症患者の多くは犯罪行為とは一切関係の無い範囲でその性行動を行っている。
また、依存症の症状に合致しない性犯罪もある。
よって性犯罪には、元からの反社会的な傾向や認知の歪みなど複数の問題が絡んでおり、性依存はそれら数ある要素の一つであるというのが現在多く取り入れられている意見である。