・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム1
食物アレルギーの治療(特に経口免疫療法)
座長:海老澤元宏1), 大嶋勇成2)(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部1), 福井大学医学部附属病院小児科2))
MS1-1.遷延する食物アレルギー児に対する急速経口減感作療法の試み
柳田紀之1) 今井孝成1) 佐藤さくら2) 長谷川実穂2) 林 典子2) 杉崎千鶴子2) 井口直道1) 小俣貴嗣1) 宿谷明紀1) 海老澤元宏2)
国立病院機構相模原病院1) 国立病院機構相模原病院臨床研究センター2)
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【背景・目的】食物アレルギーに対する急速経口減感作療法(ROIT)として病棟でのROITと外来での漸増法を組み合わせた治療の有用性を検討する.
【方法】鶏卵,牛乳アレルギーの7歳男児,11歳男児,6歳女児を対象に入院にて第2世代抗ヒスタミン剤を内服した状態で摂取量を6日間かけ急速に漸増した.
退院後は第2世代抗ヒスタミン薬を内服した状態で自宅で維持量を1回/日摂取し,外来で1ヶ月ごとに増量を試みた.
負荷食品は鶏卵が加熱卵白乾燥粉末か加熱鶏卵,牛乳はそのものを用いた.強い全身症状が出現した場合は負荷量を減量した.
【結果】鶏卵2名の症状誘発閾値は入院時/退院時/4ヶ月後で,各36.8g/60g/>60g,4g/8g/11.6g,牛乳は27ml/70ml/>200mlであった.
減感作中に全例で全身症状が出現し1名に1回アドレナリン投与を要した.自宅での維持量摂取による誘発症状は1名が無症状,1名は軽度の局所症状,1名はステロイド投与を要する全身症状が4回出現した.
【結語】学童以降まで遷延する鶏卵,牛乳アレルギーに対するROITは有効であるが,安易に行うべきではなく安全性を担保した上で慎重に施行されるべきである.
第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催