・wikipediaより
嗜癖(しへき、addiction)とは、ある特定の物質・行動過程・人間関係を、特に好む性向である。
英語をそのまま用いて「アディクション」ということも多い。WHO専門部会が依存の概念を固定化して以来、医学上は「依存」として呼ぶことが多い。
なお、依存の診断基準を満たさない軽度の依存傾向を指すこともある。
分類 [編集]嗜癖は、その対象によって以下のように分類できる。
物質嗜癖 [編集]特定の物質の摂取に関する嗜癖。酒・タバコ・向精神薬・乱用薬物が対象になりやすい。
アルコールなら、ダメだとわかっていても朝から酒を飲まずにおれず、酒しか楽しみがなく、肝臓が悪くなっても酒をやめない、など。
過程嗜癖 [編集]特定の行動過程に執着する嗜癖。
その行動を抑えがたい欲求・衝動があり、他の娯楽を無視し、有害事象が起きてもその行動をやめない。
パチンコなどのギャンブル・ショッピング・日常的暴力・性行為などが対象となる。
「好きだから行う」という点において、強迫性障害において不快を避けるために行う強迫行為とは区別される。
ギャンブル嗜癖では、ギャンブルをやめようと思った時点ではすでに借金を負っていることも多く、このため負けた金銭を取り返せるまでやめられず結果として更に借金が膨らむ強迫化が起こりえる。
関係嗜癖 [編集]特定の人間関係に執着する嗜癖。家族・恋人などの間に起こりやすく、共依存・恋愛依存などがこれにあたる。
共依存では、「自分がいなければあの人はダメ」と信じ、献身的世話の中に高揚感を得る(詳細は共依存を参照)。
嗜癖者とそれに共依存した配偶者の間の子は、アダルトチルドレンとして苦しむことがある。
クロス・アディクション [編集]複数の対象を持つ嗜癖。嗜癖は対象が異っても、同じ空虚感から同じようなメカニズムで発症しているので、同時に2つ以上の嗜癖が合併することがある(酒とギャンブル、薬物と性行為など)。反社会性の強い対象へ移行しつつ(アルコール→ギャンブル→薬物)嗜癖が続くことも多い。
環境要因 [編集]米国では8年でコカイン乱用者が8倍に増える時期があった。ベトナム戦争に行った米兵の約3割が麻薬嗜癖であったが、帰国後はその多くが乱用をやめている。
これらの事実から、嗜癖には環境要因が大きくかかわっていると推測されている。
嗜癖者の性格 [編集]性格は、薬物乱用の最も重要な成因とされる。
意志薄弱、依存的、未熟性、逃避的、自信欠乏、情緒不安定、自己中心的、顕示的など。
日本で治療を受けている大麻嗜癖者では、性格検査で気軽な衝動性・被支配性が高いプロフィールを持った者が多く、鎮痛薬嗜癖者は抑うつ・神経質・短気であるという報告がある。