・出典;化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
2003年学校環境における化学物質問題等について 文部科学省へ要望行動
・11月26日(火)、学校環境における化学物質等により体調不良を起こしている児童・生徒・学生およびその家族による団体、支援団体(8団体8個人)は、文部科学省(以下 文科省)に対して要望書を出し、話し合いを持ちましたので報告します。化学物質問題市民研究会は化学物質過敏症患者の会と共に、取りまとめ団体となりました。
当日の文科省側出席者は、初等中等教育局教科書課・斉藤係長、同局施設助成課・篠田係長、スポーツ・青少年局学校健康教育課・鬼頭調査官、同課・湯澤専門官、大臣官房総務課法令審議室・松岡係員の5名、要望書提出側は10名でした。
要望の内容 (次頁参照)
学校衛生基準の見直し、校庭樹木や学校内への農薬(特に有機リン剤)散布の中止、コンピュータ導入による健康被害防止、敷地内全面禁煙、教科書・教材の安全性確保、情報公開など12項目からなる要望書を提出しました。
これに対する文科省の回答は、これまでに取ってきた施策の説明に止まり、進展はほとんど見られませんでしたが、その中でも注目すべきいくつかの点を上げます。
「学校環境衛生の基準」で定められた4物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン)以外に、厚労省のシックハウス・ガイドライン13物質中残り9物質についても、実態調査を実施しているところで、結果を踏まえて見直しをする予定である。
(学校建物内外での定期的薬剤散布を止めてほしいとの要望に対して)「学校環境衛生の基準」では、「ネズミ、衛生害虫(ハエ、蚊、ゴキブリ等)の発生があるかどうかを調べ、ある場合は児童生徒等に害のない方法で行うこと」と定めている。
(敷地内全面禁煙の要望に対して)本年4月30日付けで、「受動喫煙防止対策および喫煙防止教育の推進について」という通知を出している。
本年2月に、学校関係者向けにパンフレット「健康的な学習環境を確保するために-有害な化学物質の室内濃度削減に向けて」を作成配布している。(文教施設部のホームページからダウンロードできる)
(安全な教科書・教材の開発の要望に対して)教科書については、教科書協会に委託して調査研究を進めているところである。暫定的には、申し出があれば天日干しのための早期給与、カラーコピー本や表紙をはずした加工本等を希望者に配布などの対応をしている。
長野県から参加した田口さんの「化学物質過敏症になった10歳の子どもが通える学校がない。町はまったく対応してくれない」という悲痛な訴えに対しては、文科省は県に対して指導はできるが、そこから先の市町村に対しては何もできないとして、まったく埒が明かない状態で、くやしい思いをしました。
会場の文科省分館のタバコ臭のひどさも気になりました。入り口の1階ロビー内は、分煙すらしていないのに等しく、エレベーター内も臭いに満ちて、化学物質過敏症患者は耐えられない状態でした。建物内には霞ヶ関保育所も入っている、子どもたちの教育を司る中央官庁として、猛省してほしいと思いました。
(安間 節子)