・日本アレルギー学会よりミニシンポジウム15
食物アレルギー・薬物アレルギー―病態生理と治療1―経口免疫療法を中心に―
座長:南部光彦1), 野間 剛2), 相原雄幸3)(天理よろづ相談所病院小児アレルギーセンター1), 北里大学医学部小児科2), 神奈川県厚木保健福祉事務所3))
MS15-#2.遷延する重症牛乳アレルギー児に対する経口免疫療法の試み
伊藤浩明1) 漢人直之1) 平山美香1) 尾辻健太1) 二村昌樹1,2) 坂本龍雄3)
あいち小児保健医療総合センターアレルギー科1) 国立成育医療センターアレルギー科2) 名古屋大学医学部小児科3)
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【はじめに】遷延する重症牛乳アレルギー児の耐性獲得を目指して,自宅における経口免疫療法を試みた.
【対象と方法】強い牛乳アレルギーが遷延する患児に微量牛乳負荷試験(生牛乳0.1,0.2,0.5,1.0ml)を行い,陽性であった11名(年齢4.8~12.9歳,平均±SD:7.8±2.6歳)に経口免疫療法を試行した.
対象者の牛乳特異的IgE抗体価は50.4±37.7(2.7~100)UA/mlであった.経口免疫療法は,誘発症状を認めた最終負荷量の1/10量(0.1mlが9名,0.05mlが2名)の生牛乳から自宅で摂取を開始し,1-2週間毎に50%ずつ増量を目指した.
【結果】抄録作成時点までに4例がそれぞれ1,2,3,7か月時点(0.1,0.3,0.07,0.5ml)で脱落した.
継続中の7例は平均8.9か月(4.1~14.5か月)が経過し,1.2~19.0mlを摂取中である.
11例中4例で口腔粘膜症状,8例で皮膚粘膜症状を認め,全例で計画通りの増量は困難であった.
摂取後の呼吸器症状を3例,運動による増強を2例に認めた.
【結語】重症の牛乳アレルギー児に対する自宅での経口免疫療法は無効ではないが,症状誘発の危険が伴って家族の不安や負担も大きく,治療法として追求するのは困難と思われた.
第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催
runより;自宅での経口免疫療法は危険ですね。医師の管理の下で行うべきと思います。