アレルギーに関連する診療ガイドライン構造化抄録3 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・■RCT (Randomized Controlled Trial:ランダム化比較試験) とは
系統的な誤差(=バイアス)を減らす目的でデザインされた臨床試験方法。
長所: 選択バイアスを排除できる。

信頼性の高い研究デザイン。
注意点: コストがかかる。

倫理的に問題がある。
解説: 臨床試験が目指すゴールは「バイアスを極力減らすこと」であり、バイアスが小さい研究ほど正確度(妥当性)が高いといえます。
具体的には、RCTは、介入群(効果を確認する目的で、試験者が、被験者に、成分投与などの介入をおこなうグループ)と、対照群(介入群と比較するために何もしないでおくグループ)をランダムに割り付ける試験方法のことです。

これによって選択バイアスを排除することができます。

選択バイアスとは、臨床試験の被験者を選択する際に生じる誤差のことです。たとえば「自発的・積極的に研究に参加/協力した被験者集団」と「そうではない被験者集団」の場合、両グループ間には明らかに特性の差があり、その差が研究結果に影響することを「選択バイアス」といいます。

このバイアスは「ランダム化」によって防ぐことができます。ちなみに特定保健用食品(トクホ)の科学的根拠はRCTです。
バイアスには様々な種類があり、研究デザイン、データ収集、分析、レビュー、出版など、研究の始まりから終わりまで、さまざまな段階で起こりうるものです。

研究結果の精度・正確度を上げるためには、できる限り「バイアスを排除した研究デザイン」が必要となります(逆に、研究デザインでバイアスの排除が徹底していない研究結果は、信頼性や妥当性が低くなります)。以下は選択バイアス以外の主なバイアスの種類です。
観察者バイアス: 観察者が測定する際に生じるバイアス。

観察者として、期待する結果には「気づきやすい/強調しがち」ですが、それ以外の結果は「気づきにくい/見逃しやすい」という傾向があります。

このバイアスは「二重盲検法」で防ぐことができます(被験者にはもちろん、観察者にも研究(介入)の目的を知らせないことによって、観察者は「何が期待する結果なのかについて無知な状態」で観察を行う手法です)。
分析バイアス: 分析者の勝手な思い込みや判断で特定の被験者を分析から除外したりすることによって生じるバイアス。Intent To Treat解析(割り付けられた被験者全員を対象として解析を行うこと)によって防ぐことができます。
出版(引用)バイアス: 結果の良かった研究しか、論文として発表(引用)されないというバイアス。臨床試験の登録、公開(レジスター制度)で防ぐことができます。

■その他
対照群のない試験や、ケースリポートなど。
長所: 安全性評価、特殊ケースなどでは、重要な資料となりうる。
注意点: 有効性評価についての信頼性や妥当性は低い。
解説: メタアナリシスやRCT以外の研究デザインは、有効性評価については信頼性や妥当性が低くなりますが、「害があった」というケースリポートは安全性評価の貴重な資料となります。

「誰が、いつ、何を、どれくらい食べて、健康被害があった」という報告は、たとえ1件(1人)であっても「ヒトでの安全性」を証明するデータとなるためです。

「有効性」と「安全性」では、評価の根拠となる研究デザインの信頼性が異なることに注意する必要があります。
当サイトでの「栄養療法エビデンス」は、おもに有効性評価に関するものを中心に掲載しているので、メタアナリシスやRCTに比べてケースリポート等のエビデンスの信頼性を下位に解説していますが、特殊環境(宇宙、高地、極地など)における研究や、稀な疾患の症例などは、RCTを実施するのが困難なため、ケースリポートなどの例数が少ない研究でも重要な資料となります