・■システマティック・レビュー(系統的レビュー)とは
あるテーマについて収集した個々の臨床試験文献を、総括的に評価した論文のこと。
長所: 複数の論文を統合的に評価しているので、エビデンスの信頼性が高い。
注意点: 時間的・人材的・経済的コストが高い(個人では不可能な作業)。
メタアナリシスと同義に使われることもあるが、厳密に解釈する場合には、システマティック・レビューを行う手順のひとつにメタアナリシスが位置づけられる。
解説: メタアナリシスは、単独のRCT結果をたくさん集めてそれらを統計学的に評価する手法であるのに対して、システマティック・レビューには一連のプロセスがあります。具体的には、1.研究テーマの設定、2.網羅的情報収集、3.情報の妥当性評価、4.データフォームへの入力、5.メタアナリシス、6.結果の解釈、7.情報の編集・更新作業、の7ステップです。この手順を厳密に定義/確立し、質の高いシステマティック・レビューを継続的に提供しているのが、コクラン共同計画によるコクラン・レビューです。
■メタアナリシス(メタ分析)とは
ひとつのテーマ(の有効性や安全性等)について、複数のRCT(Randomized Controlled Trial:ランダム化比較試験)の結果を統合して、統計学的に評価する手法。
長所: 複数のRCT結果を総合的に評価できる。
注意点: 寄与の大きいRCT結果がひとつ出てくると(あるいは、研究が進み、今までにない新しいRCT結果が出てくると)、結果が変わってしまう。
解説: !注意! 以下の解説は、分かりやすく説明するためのたとえ話であり、実際の緑黄色野菜の効果やがんの研究内容が文章の通りである、ということではありません。
たとえば、「緑黄色野菜は、がんに対して効果がある」というテーマを調べるときに、「ニンジンのRCT結果」「カボチャのRCT結果」「ピーマンのRCT結果」「ホウレンソウのRCT結果」「シソのRCT結果」「ニラのRCT結果」「トマトのRCT結果」等、できるだけ多くの「緑黄色野菜のRCT結果」を集め、そのひとつひとつが「がんに対してどれくらい効果があるか」を数字で表し、最終的に「緑黄色野菜という分類全体として、がんに効果があるかどうか」の結論を、統計学的に評価する方法のことです。
しかし、たとえば、ニンジンもカボチャもピーマンもホウレンソウもシソもニラもトマトもがんにはあまり効果がないというRCT結果が示されているところに、「ブロッコリーはがんにとても効果がある」という強いRCT結果がひとつ入ってくると、「緑黄色野菜全体の、がんに対する効果」の結論が、「効果がない」方向から「効果がある」方向へ傾くことがあります。
また、メタ分析に使う各々のRCTの発表年や時代によっては、同じテーマであっても異なる結果になる可能性があるため、RCTの鮮度にも注意を払う必要があります。