乳幼児期のRSウイルス感染とその後の喘息発症に関する検討 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ミニシンポジウム30
気管支喘息―病態生理1
座長:杉山公美弥1), 藤村政樹2), 國分二三男3)(獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科1), 金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学・呼吸器内科2), 昭和大学藤が丘病院呼吸器内科3))

MS30-#1.乳幼児期のRSウイルス感染とその後の喘息発症に関する検討

小倉英郎 小倉由紀子
国立病院機構高知病院臨床研究部アレルギー科(小児科)


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乳児期におけるRSウイルス感染症罹患が,その後の気管支喘息発症のリスクファクターとなるか否かについては一定の見解が得られていない.

この理由として,RSウイルス細気管支炎の好発月齢と乳児気管支喘息の発症月齢が微妙に重なるため事実を見え難くしていることが考えられた.

そこで,2006年1月~2008年6月の期間に国立病院機構高知病院小児科を受診した3歳未満のRSウイルス迅速診断陽性例のうち6ヶ月以上通院した患児54例を対象に後方視的に検討した.

RSウイルス感染以前に気管支喘息あるいは喘息性気管支炎と診断されていた患児は33.3%(18例),RSウイルス感染後に新たに気管支喘息を発症した患児は13.0%(7例)であった.

観察期間の短さを考慮して,RSウィルス感染が生後6ヶ月以下の患児を対象から除外するとRSウイルス感染後の新たな喘息発症は10.8%(37例中4例)であった.

また,気管支喘息あるいは喘息性気管支炎などの気道アレルギーのある児がRSウイルス感染において,細気管支炎,肺炎などの重症の病型を呈す頻度(61.1%)は,気道アレルギーのない児(44.4%)に比べて高率の傾向を呈したが,統計学的に有意ではなかった.

以上からRSウイルス感染は喘息発症のリスクファクターとは必ずしも言えないことが示唆された.

第59回日本アレルギー学会秋季学術大会 2009年10月開催