・話が変わりますが、今の時期、米国においてアフリカ大陸から砂が飛んでくる。
昔は「天の恵み」として農耕地に降ってくれることを米国でもたいへん喜んでいたのです。
砂を遠くまで飛ばす風の流れがあり、これまでは肥沃なアフリカのサハラ砂漠の砂が飛んできたのですが、最近はとんでもない化学物質がたくさん入って飛んでくるそうなのです。
それで、地元の大学が疫学調査してみると、広範囲の環境病の原因になりうるという内容の論文が書かれています。
まず、粉塵飛来地では、花粉症が多い傾向にある、そしてぜん息を含むアスペルギルス肺炎などの呼吸器疾患が噌加している。
第三番目は膠原病などの発作、リュウマチ熱などの関節痛、神経痛なども増加している。
従来は低気圧、温度、湿度などの影響で関節が痛むなどと考えられていましたが、どうもそれだけでなく、飛来してくるものには、殺虫剤、除草剤などが高濃度のものもある。
ですから、日本でも研究しなさいと言われました。
日本では、黄砂についての研究はされていませんが、室外のこうした問題にも対処しなければなりません。
幸い北海道は黄砂があまり飛んできませんが、九州や島根県、石川県などでは深刻な問題になりうるわけです。
今までは、屋外では花粉の問題が主でしたが、これが2001年の米国の研究の最新青報です。
最後に患者さんへのインフォメーションをお伝えしたいと思います。
症状がある場合、まず、シックハウスと関係があるかどうか考えてみて下さい。シックハウスかどうか見分けるには、実家や外に出て行くと治ってしまうということが大切なポイントで、これが分からないとシックハウスであることがなかなか突き止められないケースが多い。そして、工務店や保健所の方と相談する。そして、掛かり付けの先生とも相談することがたいせつです。
今では、よく相談に乗ってくれる医師が東京でも増えてきました。
ここで、患者さんに是非お願いしたいのが、自分の全ての症状を言わず、5つに絞って下さい。
この病気の患者さんは大体、黙って長時間我慢しながら症状を聞いていると100くらい言う人がいる。
医師はそこまで聞いている暇は全くないですから5つに絞って下さい。
繰り返し繰り返し同じことを言うと、その患者さんは精神科に送られてしまいます。
最近は先ず地元保健所と相談する、そして出きれば気中濃度測定を行なってもらう。
有料でもできます。
国でガイドラインのある、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、有機リン、スミチオン、クロルピリフォス。
こうしたものにより異常がありそうな時は、それにある程度ターゲットを当てて、一番重要な病状を要領良く話しかかりつけの医師を通じてから、大病院に紹介してもらう。
そこで精密検査なども受けたほうがいいと思います。
我々の診断でも化学物質過敏症ではない方も100人中25人位います。ただ患者さんが症状だけを言って診察を受けても分からない場合が多いと思います。
私たちが患者さんによく言うことは、安全な住宅に住んで、白分でも化学物質を使ってはいけません。ホルムアルデヒドの発生源と疑われる、家具、床材などは自分が反応して問題があれば身の回りから除去する。
トルエンなどは時間とともに減少するので、完成してすぐに入居しない。
だいたい1ヵ月くらい経ってから入居し、bake outする。
VOCがどの位でているかは測定してみないと分かりませんが、自分でもパラジクロロベンゼンはできるだけ使わない。
また、ドライクリーニング後の衣類はできるだけ外の空気にさらす。
室内は良質のエアクリーナーを使用して下さい。
環境改善用のタイルもあります。家を建てる時はその地域の特徴、工務店の特徴をよく調べて、他人任せにしないで自分でも材料をよく選んで、気を配っていただきたいと思います。
このように化学物質対策などについては、米国でも心拍や目の機能、鼻の機能などを利用して診断する、そのノウハウをビジネス化しようとする動きが強く、健康産業として伸びるビジネスになりうる可能一性を多く持っています。
旭川の件でもよく分かって来たことは、工学部、医学部、理学部など多方面の専門家がジョイントで研究をしメーカーの参入を求め、患者を助けるという多領域で研究や運動を行っているのは、日本しかありません、米国は分析だけ、疫学だけなど縦割り的研究をやっています。
欧州も同じです。
日本はスタートが遅れましたが、すでに追い付き、世界に負けないレベルになっています。
水はお金できれいなものを買えます。
空気は買えません。
環境問題はそれ程身近かになりました。
今回の木の城の家も、日本で初めての貴重な場所となります。
さらに健康を継続し、シックハウス症候群や化学物質過敏症が過去のものになるよう皆さんもますます健康になり、快適な生活を送っていただきたいと希望します。